流しそうめん食中毒892人 津幡、平成以降石川県内最多

湧き水からカンピロバクターが検出された大滝観光流しそうめんの施設=9月、津幡町牛首

  ●石川県、人数確定 盆時期の利用増要因

 津幡町牛首の飲食店「大滝観光流しそうめん」で8月に発生した食中毒の患者が892人に上ることが5日、分かった。石川県内で発生した食中毒の患者数では平成以降で最多。患者は18都府県に渡り、盆時期の帰省客が多かったことが患者数増加の要因とみられる。一部は入院したが、いずれも回復した。県は「適正な衛生管理の徹底を指導していく」としている。

 県によると、患者は422グループの1歳~80代で、8月11~17日に店を利用した。いずれも発熱や嘔吐、腹痛などの症状を訴え、22人が一時入院した。これまで計1298人から相談を受け、県が症状や状況を確認して患者数を確定した。

 保健所の現地調査で、食中毒は流しそうめんに使う湧き水から検出された細菌「カンピロバクター」が原因と特定した。湧き水に混入した経緯は不明という。県は9月、井戸水や湧き水を使用する県内の飲食店約550店に、水質検査を適切に行うよう求める通知を出した。

 店は3日間の営業停止処分を受け、今年の営業を終了。店を運営する大滝観光はホームページで、営業開始前に水質検査を行っていなかったと釈明。患者への損害賠償を始めており、終了した時点で廃業するとしている。

 平成以降に県内で発生した食中毒の患者数としては、2002年11月に志賀町で確認されたウェルシュ菌での食中毒540人を上回り最多となった。

 ★カンピロバクター 鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息する細菌で、食べ物を介して人間の体内に入ると、1~7日の潜伏期間の後、発熱や下痢、腹痛といった胃腸炎症状、倦怠感、頭痛、目まいなどを引き起こす。まれに、呼吸困難に陥る「ギラン・バレー症候群」を発症することもある。75度以上の熱を1分以上加えれば死滅するため、十分な加熱が予防となる。

© 株式会社北國新聞社