長崎県文化財 新たに2件指定 佐世保市・山下家の貯蔵蔵 佐々町・狸山支石墓群出土ヒスイ製大珠

平戸街道の往時をしのばせる「山下家の貯蔵蔵」(中央)=佐世保市江迎町(佐世保市教委提供)

 長崎県教委は5日、県文化財保護審議会の答申を受け、「山下家の貯蔵蔵」(佐世保市)と「狸山(たぬきやま)支石墓群出土ヒスイ製大珠(たいしゅ)」(北松佐々町)を新たに県文化財として指定した。県指定文化財は398件、うち有形文化財の建造物は34件、美術工芸品は126件になった。
 「山下家の貯蔵蔵」は木造で、土壁の上にしっくいを塗った「土蔵造り」。平戸藩主が宿泊した本陣だった山下家は酒造(現・潜龍酒造)を営んでおり、貯蔵蔵は1800年ごろ建てられたと伝わる。現在も酒蔵として使われていることや、平戸街道筋の往時をしのばせる景観資産としての価値などが評価された。
 潜龍酒造の山下庄左衛門社長は「既に有形文化財に指定されている『もと蔵』など、敷地内にはほかにも文化財や史跡がある。蔵開きなどで多くの人に見てもらって本陣の歴史をPRすると同時に、後世に残していきたい」と話した。

本県の縄文時代から弥生時代への転換期の特徴を示すヒスイ製大珠(佐々町教委提供)

 「狸山支石墓群出土ヒスイ製大珠」は1957年の調査で発掘された副葬品で、縦4.5センチ、横2.2センチ、厚さ1センチ。大珠は縄文時代の代表的な装身具の一つで、つり下げるための穴が開けられている。出土した支石墓の石棺の特徴から、「ヒスイ製大珠」は弥生時代早期から前期の物と考えられ、本県の縄文時代から弥生時代への転換期の特徴を反映した資料として貴重という。

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