県立美術館の「シンボル」伐採へ 15メートルのスズカケノキ 安全最優先で9日に

伐採されることになったスズカケノキ=8月、県立美術館

 県は5日、県立美術館のシンボルツリーとして親しまれてきたスズカケノキを9日に伐採すると発表した。樹勢の衰えで今年8月に1本が倒れ、最後の1本となっていた。同館は「利用者の安全確保を最優先した」としている。

 樹齢は100年を超え、高さは約15メートルの大木。同館は保存する方法も検討したが、8、9月に複数の樹木医から「腐朽が見られ、倒木の危険性がある」と診断を受けたという。

 今後は「伐採した木でコースターやいすなど記念になるものの制作を考えている。ひこばえが生えているので、残るように切って苗木に育て、美術館のシンボルとして遺伝子を残したい」としている。

 スズカケノキは1972年の同館開館前に同所にあった児童養護施設下野三楽園時代から立っていた。保存を求めていた市民団体「老大木スズカケノキの保存を求める会」の事務局を務める元同園長田村匡彦(たむらまさひこ)さん(81)は「残念だが、伐採で終わりではなく命をつないでほしい」と話す。

 同館友の会の原田寛子(はらだひろこ)会長(74)は「会報誌『すずかけの庭』の名前はスズカケノキからもらっている。なくなるのは寂しい」と語った。

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