明治の名古屋を走った電車「名電1号形(めいでんいちごうがた)」。
9月まで愛知県犬山市の、明治建築などを保存展示する野外博物館「明治村」に展示されていましたが、遠く離れた北海道に運ばれました…そのワケは?
(記者 9月24日)
「浮いた!名電1号形がクレーン車によって運ばれています」
120年以上前に名古屋で製造された「名電1号形」の車両。
9月24日、所有者の北海道札幌市に返却するため、搬出作業が行われました。
(来館者)
「好きでよく見ていて、ついに来たという感じ。残念」
「(返却に)ビックリした。これからも末永く見てもらえたらいいと思う」
名古屋と札幌“2つの街”で愛される
「名電1号形」は木造で定員は26人。
名古屋鉄道の前身、名古屋電気鉄道が製造し、名古屋の市電として1901年から6年間、名古屋市中村区の笹島から、現在の中区役所までおよそ2キロの区間などで運行しました。
その後「輸送力に乏しい」などの理由で札幌市に譲渡され、1918年から20年近く札幌市民の足として活躍しました。
当時24両あった車両のうち、戦時中の解体を免れて残っているのはこの車両だけです。
戦後は札幌の資料館などで展示されていましたが、2014年、明治村は50周年記念事業としてこの車両を札幌市から借り、9月3日まで9年間にわたり展示していました。
(博物館明治村 湯田晃久所長)
「無事に返すことがかなうと思うと感慨深いものがある。札幌でも素晴らしい余生をすごしてほしい」
(札幌市交通局事業管理部 駒田心平さん)
「いろいろな部分も修復して、丁寧に保管していただいて本当に感謝している」
2014年 元の色に塗り直す
この「名電1号形」実は。
(記者 2014年)
「大阪にやって来ました。これから車両を塗り替える作業が行われます」
なんと借りた当初、車両の色は「黄色」でした。しかし、当時の運転手の証言などから、札幌に移った当初は「茶色」だったことが判明。復元のため、大阪で車両の塗り替えをしていました。
名古屋港からフェリーに乗り…
そしてことし9月、「名電1号形」は名古屋港までトレーラーで運ばれ…
(記者 9月24日)
「名電1号形がフェリーに積み込まれます」
その翌日、フェリーに積み込まれ札幌を目指しました。
2日後、「名電1号形」は北海道の苫小牧へ。
そして札幌市交通資料館に無事到着。
この日は館内への車両の引き込み作業が行われました。
2つの街で愛された「名電1号形」。
札幌市交通局によりますと「名電1号形」は、来年5月にリニューアルする交通資料館で、再び札幌で歴史を伝える「仕事」に就きます。