知の宝、良い状態で 足利学校、伝統の「曝書」始まる

貴重な古書を丁寧に広げて虫干しする職員

 【足利】昌平町の史跡足利学校は7日、所蔵する貴重な古書を虫干しする「曝書(ばくしょ)」を同学校書院で行った。

 古書の湿気を取り、虫害や損傷がないかを点検することが目的。江戸時代から続く秋の風物詩で、毎年実施している。

 この日、畳に敷かれた紙の上に広げられた古書は、中国の正史「後漢書」(市指定文化財)など17種類56冊。マスクと手袋を着けた職員4人が1ページずつ丁寧にめくり、紙の状態などを記録していった。

 今秋は所蔵する国宝や重要文化財など古書約1万7千冊のうち、約600冊を行う。湿度40~70%などの条件がそろわないと実施できない。この日から始まり、11月上旬までに12~14日程度行う予定。

 学校事務所の塩島啓嗣(しおじまあきつぐ)所長(56)は「地道な作業ですが、先人から引き継いだ宝を丁寧に保存し、少しでも良い状態で後世に引き継ぎたい」としている。

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