金沢でクマ、男性襲われる 小中学校で登校見守り

現場を調べる警察官=9日午前9時、金沢市長坂町

  ●9日、大乗寺丘陵公園 石川県内20年以来の人身事故

 9日午前6時ごろ、金沢市長坂町の大乗寺丘陵公園の遊歩道で、ウオーキング中の同市の男性(84)がクマに襲われた。男性は顔や右胸を引っかかれ、金大附属病院に搬送された。命に別条はない。猟友会や市が捜索したが、クマは見つからなかった。石川県内でクマによる人身事故は2020年11月以来。近くの長坂台小や野田中では10日、児童生徒が教職員や住民に見守られて登校した。

  ●引っかかれ負傷

 市によると、クマは体長約1メートルの成獣という。男性は当時、1人で歩いていたとみられ、近くにいた知人が119番通報した。猟友会や市が捜索したところ、現場から南西約200メートルの場所でふんが見つかり、山に向かって樹木を踏み倒した痕跡が確認された。

 現場は金沢外環状道路山側幹線(山側環状)から約500メートルに位置し、野田山墓地が広がる。市は9日、危機管理連絡会議を開き、防災無線で周辺住民に注意を呼び掛け、公園や墓地に注意喚起の看板を設置した。

 約650メートル離れた長坂台小では保護者にメールを送り、早朝にクマが出没する可能性があるため、10日は午前7時45分以降の登校を促し、通学路には教職員や住民が並んだ。同校は全校児童445人にクマよけの鈴を貸与しており、鈴の音を響かせながら保護者に付き添われて登校する姿が見られた。

 現場から約1.5キロの野田中もメールで注意喚起し、教職員が街頭に立った。市職員、金沢中署員も巡回した。

 犬の散歩で大乗寺丘陵公園をよく訪れるという女性(50)は「怖い。普段から鈴を着けるようにしたい」と話した。長坂台小PTAの髙野光会長(34)は「子どもには数人で登下校するよう伝えた。見守りを続けていく」と話した。

  ●県が出没注意情報

 県によると、県内では今年に入り、9日までにクマの目撃件数は149件(前年同期226件)で、金沢市は38件(同62件)となっている。県は9日、「ツキノワグマ出没注意情報」を出し、カキやクリなどの果実を早めに摘み取るなどの対策を求めた。

 金沢市内では10月に入り、クマの出没が相次いでいた。4日は三口新町2丁目の住宅街で1頭が確認され、近くでふんも見つかった。6日は末町の遊歩道、8日は舘町、角間町で目撃された。

見守られながら登校する児童=10日午前7時45分、金沢市長坂台小

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