「ゴボウみたいなのが太くならないと売り物にならない」サツマイモに栗も成長せず 記録的暑さ過ぎ…“実りの秋”のはずが参った

異例の暑さに見舞われた2023年の夏ですが、秋の味覚にも影響を及ぼしています。実りの秋を迎えていますが、思うように成長しない農作物もあり、生産者からは落胆の声が聞かれます。

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3連休の中日、静岡県掛川市の観光農園は、芋掘りを楽しむ家族連れで賑わっていました。

<来園者>
Q芋掘りどうだった?
「楽しかった。掘るのが楽しかった。あと切るのも楽しかった」

子どもたちは自分の手で収穫したサツマイモを手に満面の笑顔を見せていますが、農園にとっては、いつもの秋とはいえないようです。

<赤ずきんちゃんのおもしろ農園 赤堀和博代表>
Q今年の夏はサツマイモにどんな影響が?
「暑さももちろんありましたし、適度な雨が不足してたので、(サツマイモの)たまが膨らみづらい状況ではあった。ゴボウみたいな芋がもっと太くなってくれないと売り物にならない」

記録的な暑さと雨不足で土の中が乾燥してしまい、例年に比べて細いサツマイモが1割ほど増えたということです。

秋の味覚を代表する栗にも猛暑の影響は広がっていました。

静岡県内有数の栗の産地として知られる掛川市です。「ゲンベエ農園」では10月10日、午前6時からスタッフが収穫作業に臨んでいました。

<ローカルライフスタイル研究会 山崎善久理事>
「やっぱり少ないですし、小さいです。いつもはもっと大きな栗が採れる。少ないし小さいって感じです。(手伝いに来た人も)『あ~いつもより少ない』という感じで、せっかく来ていただいたのに。拾うのが楽しみで来てもらったのに」

「ゲンベエ農園」では例年、約500キロの栗が収穫されるといいますが、暑さの影響で2023年は300キロ台にとどまっています。

例年だと、9月中には収穫を終えていましたが、2023年は収穫量が少ないため、10月まで延長してひとつでも多く実を拾い集めます。

<ローカルライフスタイル研究会 山崎善久理事>
「暑さの影響とか、木自体が若い木じゃないので、より猛暑の影響が効いてるのかなと思う」

甘くて実が大きい”掛川の栗”。収穫を心待ちにしている人が多くいます。

<杉井酒造 杉井均乃介社長>
「原料の栗のほのかな香りがして、丸みがあって飲みやすい。くせがないのでどなたでも飲みやすいと思います」

農園で収穫される栗は、10年以上前から”まちおこし”の一環で造られる栗焼酎の原料としても利用されています。

焼酎造りは12月から本格的に始めますが、収穫量の減少は焼酎の量に直結すると懸念します。

<杉井酒造 杉井均乃介社長>
「みなさんが楽しみにしてくれているのに供給量が少なくなるのは、作り手としても悲しい。なかなか天候のことは分からないけど来年はたくさん採れてほしい」

2023年の記録的な暑さは、収穫シーズンを迎えた農作物を直撃しています。

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