タイムカプセルあった 七尾・三引の赤蔵山 住民寄せるも失念

発見された「夢回廊33年箱」を確認する住民=七尾市三引町の赤倉神社

  ●33年前のご開帳

 七尾市三引(みびき)町の赤蔵山で、33年前のご開帳の際に住民が寄せた「未来の手紙」を詰めた箱が見つかった。今年8月の開帳に合わせ箱を開封する予定だったが、企画に携わった人が亡くなっていたため忘れられていた。当時、手紙を投函した市外在住の女性からの問い合わせで捜索が始まり、無事に箱が見つかった。29日のイベントで開封することになり、住民が記憶の奥に埋まっていた「タイムカプセル」の存在に心躍らせている。

  ●29日に開封

 赤蔵山の秘仏「赤蔵山大権現本地釈迦牟尼仏(ほんじしゃかむにぶつ)」は8月12日、17年ぶりに公開された。近年は33年ごとに「本開帳」、その中間の年に「中開帳」が行われており、今年は本開帳の年だった。

 前回の本開帳年である1990(平成2)年、当時の田鶴浜町商工会青年部が未来の自分や子どもに向けた手紙を書くことを企画。郵便はがきや、「建具のまち」田鶴浜にちなんだ木製はがきに来訪者がメッセージをしたため、山内の赤倉神社境内に設置した「夢回廊33年箱」に投函(とうかん)した。

 長い年月が経ち、当時の関係者が他界、転居したことでその存在は忘れられ、8月の開帳時に開封されることはなかった。しかし、33年前に手紙をしたためた京都に住む女性が手紙のことを覚えており、市役所を通じて地元三引町の平野忍町会長(69)に連絡した。

 平野さんは長田次夫副町会長(68)とともに手掛かりを探し、田鶴浜町商工会を統合した能登鹿北商工会で資料を確認。約1週間かけ、赤倉神社のご神体のそばに置いてあった箱を発見した。長田さんは「見つからなかったら投函した人に申し訳ないと思っていたのでよかった」と胸をなで下ろした。

 29日に行われる「令和夢回廊」(北國新聞社後援)は、同市伊久留町の田鶴浜地区コミュニティセンター相馬分館で開催する。午後1時ごろから箱の開封が行われる。平野さんは「当時33年後を楽しみにしていた人に送ってあげたい」と話した。

33年前に設置された33年箱=1990年8月、田鶴浜体育館(長田次夫さん提供)

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