使用済み核燃料巡り国と関電が再説明…知事が週内にも容認へ 県外搬出問題「一歩前進」と一定評価、経産相の姿勢を確認意向

使用済み核燃料の福井県外搬出計画について、中村保博副知事(右)に説明する山田仁調整官(左から2人目)と水田仁副社長=10月10日、福井県庁

 関西電力の原発内にたまる使用済み核燃料の福井県外搬出問題を巡り、資源エネルギー庁と関電の幹部が10月10日、福井県庁を訪れ、県と県議会に説明した。関電は青森県六ケ所村の再処理工場への搬出工程など県外搬出のロードマップを示し、国は「事業者が確実に県外搬出を進めるよう、最大限指導する」と強調。杉本達治知事は「一歩前進」と一定評価し、県議会は意見書を可決した。早ければ週内にも西村康稔経済産業相が来県する見通しで、知事は西村氏の姿勢を確認した上で、国と関電の説明に理解を示すとみられる。

 年末を期限とする関電の中間貯蔵施設の県外計画地点提示を巡る議論は最終局面を迎える。杉本知事は臨時県議会後、「(説明が)県外搬出の計画地点の確定に当たるかどうかではなく、必要な搬出量を確保していく考え方についてのロードマップの提案で、それを全体としてどう判断するかを考える」と述べた。西村氏、関電の森望社長と面談し、今回の説明に対する覚悟や立地地域振興などを確認するとした。

 この日は資源エネ庁の山田仁・資源エネルギー政策統括調整官と関電の水田仁副社長(原子力事業本部長)が中村保博副知事に説明した。水田副社長はロードマップについて、中間貯蔵施設の県外地点を確保し、2030年ごろに操業開始するとした県との約束を履行すると改めて強調。再処理工場への搬出は24年度上期の完成を前提に、26年度に開始することを示すとともに、同工場の早期稼働に向けて日本原燃への社員派遣を増員し、約40人体制で審査対応を支援しているとした。

 6月に示した高浜原発で保管する使用済み核燃料約200トンのフランスへの搬出計画については、27~29年度に年60~70トンを搬出すると説明。搬出量の積み増しも検討すると述べた。

 一方、8月に表面化した山口県上関町での中国電力との中間貯蔵施設の共同開発計画については言及しなかった。

 山田調整官は、県が再説明を求めていた4項目について回答。ロードマップや再処理工場の完成に関し「国として総力を挙げて指導する」と強調したが、再処理工場が予定通り稼働しない場合の対応については具体的な回答はなかった。

 関電は6月、フランスへの200トンの搬出計画を示し、中間貯蔵施設の県外計画地点提示と「同等の意義がある。県との約束はひとまず果たされた」と主張。県と県議会は「県民に分かりにくく、具体性に乏しい」などと反発し、再説明を求めていた。

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