青葉被告、京アニ社長の証言を否定 「闇の人物がパクること指示した」主張

逮捕された際、ストレッチャーで伏見署に移送された青葉真司被告(2020年5月、京都市伏見区)

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第12回公判が11日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれ、被告人質問が行われた。青葉被告は自身が応募した小説について、盗用はなかったとする京アニの八田英明社長の証言を否定し、「『闇の人物』が裏でアイデアをパクることを指示していた」と改めて主張した。弁護側の質問に答えた。

 今月2日の公判で、証人として出廷した八田社長は「当社は人様のアイデアを盗んだりできる会社ではない」と証言し、盗用を否定。青葉被告の応募作品については「1次審査で落ちた」とし、落選した作品の中身に目を通すことは「まずない」と述べていた。青葉被告は、自身を警察に監視させ京アニともつながっていたとする闇の人物がいたと主張している。

 この日の被告人質問で、青葉被告は「社長の立場からすればああ言うしかないと思う」と言及。落選後、京アニの女性監督がブログで自身の作品に触れていたとし、「京アニが作品を読んでいないことはない」と述べた。また、36人が犠牲になった結果の受け止めを尋ねられると、「まさかここまで大きくなると思わなかった。死傷者は3人くらいだと思っていた」と述べた。

 公判の争点は刑事責任能力の有無や程度。弁護側は精神障害の影響で責任能力がなかったとして、無罪を訴えている。一方、検察側は「筋違いの恨みによる復讐(ふくしゅう)」とし、完全責任能力があったと指摘している。

京都地裁

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