子どもたちの孤立を防ぎ、学びにつながる支援体制づくりを急ぎたい。
2022年度に全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒が29万9千人となり、10年連続で過去最多を更新した。前年度から5万人も増えた。
京都府内は5627人、滋賀県内は3385人で、ともに最多が続いている。
新型コロナウイルス禍で子どもの生活リズムが乱れやすくなったのに加え、無理して学校に行く必要がないと、不登校に対する社会の捉え方が変化していることも影響したとみられる。
見過ごせないのが、学校内外で専門家らの相談や指導を受けていない児童生徒が4割近くもいることである。
不登校が急増する現状に、支援が追いついていない。
不登校の要因で約半数を占めたのが、「無気力、不安」だった。いじめや発達障害、貧困など複数の要因が重なることもある。
別室なら登校できる子や、家からも出られないケースなど不登校の形態も個々で異なる。子どもの状況に合わせ、多様な選択肢を用意しなくてはならない。
だが、受け皿となる「居場所」や、現場で対応する人材の不足は著しい。
フリースクールを運営する民間団体などへの財政支援に加え、専門的に対応するスクールソーシャルワーカー、関係機関をつなぐコーディネーターの配置などの強化策が欠かせない。
文部科学省は今春、不登校対策として、学習指導要領に縛られず授業時間を減らすことができる「学びの多様化学校(不登校特例校)」の拡充を重要課題に挙げた。
その一つ、不登校の経験者が通う京都市の洛風中では、社会と理科を合わせた「科学の時間」など独自の授業を設けている。
文科省は最終的に全国で300校に増やす方針だが、24校にとどまる。地域格差の改善に向け、国には自治体任せにとどまらない普及策が求められよう。
文科省は、小中学生に配備したデジタル端末で心身の不調を把握するなど、技術活用にも力点を置く。京都府では中高生対象に、メタバース(仮想空間)内での支援も始まった。さまざまな試みを実績につなげたい。
大切なのは、子どもらが安心して学べる場を選べるようにすることだろう。行政や学校、支援団体の緊密な連携が必要だ。