「今は永瀬王座がリード。でも将棋は逆転の競技」藤井聡太“八冠”へ 王座戦第4局の師匠と姉弟子の分析は

前人未到のタイトル“八冠”を目指す、将棋の藤井聡太七冠(21)。

10月11日、永瀬拓矢王座(31)に挑む王座戦五番勝負の第4局が、京都市東山区の「ウェスティン都ホテル京都」で行われています。

11日午後5時ごろ、スタジオでは藤井七冠の師匠・杉本昌隆八段が、そして京都の中継先では、姉弟子の室田伊緒女流二段が生出演。

藤井七冠の対局状況や、姉弟子が知る素顔などを語っていただきました。

(大石邦彦アンカーマン)
王座戦第4局が行われている、京都市内のホテルの目の前に来ています。日が少し落ち、風が強くなってきました。会場内の戦況は大荒れなのか、どうなのか。きょう(11日)は、室田伊緒女流二段に来ていただいています。藤井七冠の“唯一の姉弟子”ということなんですが、さあ、午前9時に対局が始まりました。午前中の展開はどう見ますか。

(室田女流二段)
午前中は、ちょっと永瀬王座の研究に「はまってる」じゃないですけど、永瀬王座ペースで進んでいたかなと見てます。

(大石アンカーマン)
藤井さんがですね、2回長考しました。合わせて2時間近くあったんですけども、これはどう考えればいいでしょう。

(室田女流二段)
やっぱりちょっと想定外のところ、永瀬王座だけが研究している局面を持っていかれてしまったかなと。

(大石アンカーマン)
午前中は永瀬王座がややリード。午後に入ってどんな展開になってますか?

(室田女流二段)
永瀬王座が2時間4分の長考をしまして、一手に2時間かけられたということで、これでだいぶ待ち時間は差が狭まったかなと。すごい差があったんですけど、持ち時間はちょっと近づいたなと。

(大石アンカーマン)
そして気になるのは、現在(午後5時過ぎ)どっちが有利なのということなんですがどうですか?

(室田女流二段)
ちょっと前まで、ほぼ互角な感じで見えてたんですけど、若干また永瀬王座ペースになってるかなというふうに見ています。

杉本師匠が分析する対局状況 「永瀬王座が1枚上手」

(大石アンカーマン)
さあ、姉弟子はこう見てますけども、スタジオの杉本さんはどんなふうに見てますか。この読みで当たってますか?

(杉本昌隆八段)
室田さんこんばんは。室田さんの言う通り、確かに永瀬王座の研究に真正面から突っ込んでいった感じがありますよね。かわす手もあったんでしょうけど、もう絶対逃げないから、長考して踏み込んでいったけど今のところ永瀬王座のが1枚上手で、やや形勢は永瀬王座がリードしているかなと思います。

(大石アンカーマン)
さあ、いよいよこれ八冠目をかけた戦いになります。昔からよく知ってると思いますけど、いつ頃藤井さんとは出会ったんですか?

(室田女流二段)
私は小学校2年生のときですね、藤井七冠が。

(大石アンカーマン)
その頃は何て呼んでいたんすか?

(室田女流二段)
『そうちゃん』と呼んでいた。もう今は呼べない(笑)

(大石アンカーマン)
いつからどんな呼び方に変わりました?

(室田女流二段)
そうですね…プロになってちょっとぐらいは『そうちゃん』と読んでたような気もしなくもないんですけど、その頃から『藤井くん』と呼んでいましたね。

(大石アンカーマン)
もし八冠ということになったら、呼び方変えます?

(室田女流二段)
確かに『藤井くん』だと失礼なので、『藤井先生』と呼びます(笑)

(大石アンカーマン)
杉本師匠は呼び方はどうされますか、今後もし八冠をとったら?

(杉本八段)
そうですね、いや今でも『藤井くん』っていう時があるんですけど、なんか最近言いにくくなって、『藤井七冠』みたいな感じで呼ぶことが多くなったんで、『藤井八冠』と呼ばなきゃいけないかなって思いますね

“勝率8割の男” 姉弟子も「信じられない…」

(大石アンカーマン)
さあそして、“藤井七冠勝率8割の男”ということで、2016年にデビューして、2017年度からですね、本格的に対局を始めるんですけども、勝率ずっとこれ8割。
これは室田さんどんなふうに見ていますか?

(室田女流二段)
いやあ、すごいうらやましいですよね。2020年度からタイトル戦始まっても変わらないですね。ちょっとびっくりです。やっぱり当たる相手もトップばっかりですし、挑戦していったり防衛戦だったり、そういう厳しい戦いの中で8割っていうのは信じられないですね。

(杉本八段)
対局が増えれば増えるほど、どうしても勝率って少しずつ下がっていくのが当たり前なんですけども、タイトル戦ばかりになってるのに、これだけ勝率が高いというのは驚きです。

(大石アンカーマン)
この強さの秘密なんですけども、姉弟子はどう見ていますか?

(室田女流二段)
やっぱり昔から負けず嫌いで、結構負けると昔泣いちゃってたりとか。実際に私の弟にも1回負けて泣かれちゃったと弟が言ってますので、もう弟はそれで生涯逃げ切るって(笑)

(大石アンカーマン)
それだけ負けず嫌いだから泣くんですかね?

(室田女流二段)
デビューした頃も膝を叩いたりしてましたよね。結構感情が表れちゃうとか、悪かったらちょっと落ち込んだような様子とかが出ちゃってたと思う。やっぱりそれは負けず嫌いがすごい大きいですよね。

(大石アンカーマン)
負けず嫌いの場面は何回も見ていますか?

(杉本八段)
そうですね、やっぱり幼少の頃から今まで負けず嫌いの気持ちというのは、もう全然変わってないかなっていう気もします。

(大石アンカーマン)
でも師匠も負けず嫌いじゃないんですか?

(杉本八段)
私ですか、いやでもそばにね、あれだけすごい人がいると、もうなんか『負けてもしょうがないよな』みたいに思っちゃいますよね。

将棋は逆転の競技 「野球でいうとランナーが8人溜まっている」

(夏目みな美アナウンサー)
スタジオにいる杉本さんから、室田女流二段に質問があるんですよね?

(杉本八段)
将棋のことを聞こうと思ったけど十分話したので…きょうのおやつで藤井七冠って丹波栗とラズベリーのケーキを頼んでたと思うんですけど、室田さん食べました?

(室田女流二段)
あ、私、永瀬王座のシャインマスカットの方食べちゃいました(笑)村田顕弘先生が丹波栗の方を食べていました。

(杉本八段)
いや、おいしそうだなと思って(笑)永瀬さんの飲みの充実ぶりには、驚きというか。毎回充実されてますよね。

(室田女流二段)
丹波栗のケーキはもう売り切れてるみたいで、ホテルに売ってるものなんですけども売り切れちゃってるみたいです…

(大石アンカーマン)
おやつ休憩も挟んで、そしてこれから終盤戦になってくるわけなんですが、この後はどんな展開になると思いますか?

(室田女流二段)
そうですね、まだ持ち時間もありますし、藤井七冠は1時間を切ってきたので、ちょっと早めに進めないといけないところなんですけど、一手一手重要な対局になるんじゃないかなと思います。

(大石アンカーマン)
あれは2局目でしたかね、200手を超える大勝負になりました。最終盤になったとしても、大逆転っていうのはやっぱりあるんでしょうか?

(室田女流二段)
藤井七冠の方が、結構3局とも苦しい展開。まだ4局目もっていうところですね。逆転を期待しています。

(夏目アナ)
では、改めてきょうの対局スケジュールです。午後6時から夕食休憩が入ります。そして、その後30分後に再び対局が再開されるということになっています。
ここから藤井七冠が強いとされる終盤になっていきますが?

(杉本八段)
将棋は逆転の競技でして、スポーツで言えば「1手で8点、9点」取ることもあって、野球でいうランナーがもう8人溜まっていて逆転みたいな(笑)

(夏目アナ)
野球の限界は、4点ですけれども…(笑)

(杉本八段)
将棋は、もっともっとたくさん一手で点を取ることができる。ひっくり返ることがあるんですよ。今回永瀬さんはすごい慎重に、少手数でもいいっていう感じでやってますよね。だからどうなるか、長引くと思います。

(夏目アナ)
第3局も思い返せば大逆転でした。勝負の行方どうなるでしょうか。11日夜にも決着する見込みです。

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