岩手県内の養殖サーモン順調 23年度の水揚げ、前年度の1.5倍増

 

 岩手県沿岸部で養殖サーモンの水揚げが伸びている。岩手日報社の調べでは、2023年度の4市2町の合計は1818トンで前年度の1.5倍に増え、過去最高となった。各地で水産大手と漁協が連携しノウハウを確立。今後も設備投資を進めて規模拡大を図る見通しだ。11日で東日本大震災から12年7カ月。主要魚種の記録的な不漁が続く中、新たな収入源として「つくり育てる漁業」の存在感が高まっている。

 今季は久慈、宮古、大槌、釜石、山田が海面養殖、大船渡が陸上で試験養殖に取り組み、4~7月末に水揚げした。

 岩手大三陸水産研究センター長の平井俊朗教授によると、サーモンの生食需要は世界的に高く、国内のほか欧州や中東でも養殖への参入が相次ぐ。餌となる魚粉は天然イワシの漁獲に依存するため供給に波があり「取り合い状態」という。「数年はサーモンの相場も高い状態が予想されるが、いつまでも続く保証はない。ブランド化や販売戦略が鍵を握る」と指摘する。

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