【リニア問題】知事「1合目よりは進んだ」ものの…まだ時間かかる認識示す 静岡市長からは苦言も…(静岡県)

リニア工事をめぐるJRとの議論の進捗について、川勝知事は「1合目よりは進んだ」ものの、まだ時間がかかる認識を示しました。静岡県は、水問題に加え、残土置き場についてもJRに厳しい姿勢を見せていて、解決の見通しはたっていません。

静岡工区の早期着工に向けて議論が続いているリニア問題。2021年、JR東海との議論の進捗状況について、わずか「1合目」と話していた川勝知事。10月10日の会見で、現在は何合目か問われると…。

(川勝知事)

「1合目よりは少し進んだ。納得できるところまでもっていくよう、私たちも協力するし、JR東海に国交省から指導を願いたい」

このように述べ、解決に向けて時間がかかる認識を示しました。リニア問題をめぐっては、トンネル工事で出た「残土置き場」について、県と静岡市で見解が分かれています。

東京ドーム3個分ともいわれる「残土置き場」をめぐり、JR東海は大井川上流の「ツバクロ」に大半を盛り土する計画ですが、県は、この「ツバクロ」について「深層崩壊の恐れがある」として難色を示しています。9月、リニアに関する静岡市の協議会で、難波市長は「ツバクロを否定する理由はない」とJRの計画に理解を示しました。一方、県に対しては「盛り土がない状態で深層崩壊した場合、どのようなリスクがあるのか示すべきだ」と注文をつけました。

(静岡市 難波市長)

「河川管理者は静岡県であって、県が考えるリスクはこういうもので、保持している安全水準はこれだけですと言わないで、JR東海に対処だけ求めるのは、河川管理者としての責任を問題視さぜるをえない」

(県の担当者)

「河川法一条の目的は河川の流水、どう流れるかに主眼が置かれた立て付け、例えば土石流とか斜面崩壊、深層崩壊を考えるような立て付けにはなっていない」

(静岡市 難波市長)

「熱海の土石流が起きてよくそんなことが言えますね、今の回答はあまりにもひどい、河川管理者としての責任を放棄している」

これに対し、難波市長から厳しい指摘を受けたかたちとなった川勝知事は…。

(川勝知事)

「ごもっともなご発言、災害の激甚化、頻発化もあって、新たなステージに入ったという認識、深層崩壊に関わる件は難波市長は優れた技術官僚としての知見もお持ちで、一緒にシュミレーションしていければ、これについては(静岡市と)連携していきたい」

難波市長の指摘に理解を示した上で、「深層崩壊した場合のシミュレーションを静岡市と連携して行いたい」と“協力”を呼びかけました。知事からの“協力要請”に難波市長は「深層崩壊が起きた場合の影響」について今後、県に提案する考えを示しました。

(静岡市 難波市長)

「知事が柔軟な対応をしてくださったので、それは感謝したい、どういう検討が必要かは私自身案を持っていますが、そこは市の協議会でしっかり議論いただいて、県に提案したい」

10日、川勝知事は、残り2年を切った任期中にリニア問題の解決に向けた方向性を示せるのか問われると…。

(川勝知事)

「ボールはJR東海にあると思っている、もし私がJR東海の意思決定者であれば、川勝とひざを突き合わせて話して、その場で解決策を出せる自信がある」

水問題だけでなく、残土置き場についてもJRに厳しい姿勢を見せている川勝知事。リニア問題の解決は「JRの対応次第」と持論を述べました。

© 株式会社静岡第一テレビ