強制不妊手術 京都新聞は「情報開示を」、滋賀県は「非公開に」 控訴審始まる

大阪高裁

 優生保護法下の強制不妊手術に関わる公文書を非開示としたのは情報公開条例に反するとして、京都新聞社が滋賀県に開示を求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が11日、大阪高裁(長谷川浩二裁判長)で開かれた。県側は控訴棄却を求め、争う姿勢を示した。

 京都新聞社側は「国や地方自治体による差別的人権侵害行為への説明責任を果たさせ、差別の実態に関する情報を市民が共有することにつながる」と公文書の開示を訴えた。県側は情報開示で個人の特定や利益侵害が生じるとし、「(京都新聞社が)公開を求めている情報は、いずれも県情報公開条例の非公開情報に該当する」と主張している。

 今年3月の大津地裁判決は、手術を受けた当事者の行動傾向や発病後の具体的な行動、治療経過などの情報は一部を除いて開示を命じている。一方、出生や異性関係、遺伝情報、就労状況などは非開示とした。

 原告弁護団によると、県が黒塗りして非開示とした347カ所のうち、判決は225カ所を開示すべきとし、61カ所は部分的な開示を命じ、61カ所は非開示と判断した。

 京都新聞社と県の双方が判決を不服として控訴していた。

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