ブタ腎臓移植で2年超生存 遺伝子改変、サルで研究

ブタの腎臓をサルに移植した研究(イメージ)

 遺伝子を改変して拒絶反応のリスクを抑えたブタの腎臓をサルに移植した結果、最長で2年以上生存させることに成功したとの研究結果を、米マサチューセッツ総合病院などのチームが11日付の英科学誌ネイチャーに発表した。米食品医薬品局(FDA)に認められれば、来年にも人の腎不全患者を対象とした臨床試験を始められる可能性があるという。

 ブタの腎臓や心臓を使った移植は、人からの提供臓器の不足を補う目的で研究が進む。米国では昨年、重い心臓病のためにブタの心臓の移植を受けた男性が約2カ月後に死亡した。移植後の拒絶反応やブタに特有のウイルスへの感染といったリスクを減らし、長期にわたり臓器を機能させる手法の確立が課題となる。

 チームは、人の免疫による攻撃を避けるため、標的となるブタ特有のタンパク質を作る三つの遺伝子を働かなくしたり、人のタンパク質を作る七つの遺伝子を導入したりしたブタの腎臓をカニクイザルに移植。免疫の機能を幅広く抑える薬も使って約20匹の経過を観察した。

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