【ミャンマー】一帯一路は人権侵害を助長=タイのNGO[政治]

タイに拠点を置く非政府組織(NGO)「カチン女性連盟タイ(KWAT)」は9日に発表した報告書で、中国による巨大経済圏構想「一帯一路」の拡大が、ミャンマー北部での国軍による残虐行為や人権侵害を助長していると非難した。

報告書では、国軍が北部カチン州と北東部シャン州北部で、一帯一路に含まれる輸送ルートを確保しようとしていると指摘。これが、2022年半ば以降に北部で残虐行為や人権侵害が加速している一因だと主張した。

具体例として、国軍が昨年10月にカチン州パカンで開かれた音楽イベントを空爆し、民間人170人超が死傷した事件に言及。この前日に国軍は同州の少数民族武装勢力であるカチン独立軍(KIA)の拠点制圧を試みたが失敗に終わっており、空爆は明らかに報復行為だったと指摘した。

報告書によると、カチン州とシャン州北部で22年5月~23年7月に国軍の空爆で死傷した民間人は200人近く。子ども11人を含む61人が死亡したとされる。また、同時期に逮捕された民間人は441人に上っている。

KWATは、ミャンマーが内戦状態にある中、人権が軽視されている地域への投資拡大は、国軍による残虐行為や人権侵害を加速させる恐れがあると強調。中国に対し、人権問題が解決するまでは一帯一路を通じたミャンマーのインフラへの投資拡大を停止するよう求めた。

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