ジャパンカップ経済効果26億円に 20年で6倍超、観光資源として定着 大谷地区への波及に課題 輪都駆ける㊥「にぎわい」

赤い大会フラッグはオリオン通りの風物詩となった。にぎわいづくりに一役買っている

 宇都宮市のオリオン通り。ジャパンカップ開催を告げるフラッグが掲げられ、アーケード街は大会テーマカラーの赤に染まった。

 大会期間中、市内は全国から訪れる自転車ファンでにぎわう。市西部でのロードレースに加え、中心部の大通りでクリテリウムが始まった2010年、主催者発表の観客数は10万人を突破。新型コロナウイルス感染症拡大前の19年には13万人超、3年ぶりの開催となった昨年も12万9800人と変わらぬ人気ぶりだ。

 来場者の交通費や食費、土産代などを基に、市が04年に試算した経済波及効果は3億9千万円。昨年には26億3400万円と約20年で6.7倍に増えた。人気自転車メーカーがブースを連ねる街なかでの催しやクリテリウム有料観戦席の設置などが定番化。大通りに面する銘茶関口園本店の関口慶介(せきぐちけいすけ)社長(36)は「街なかに人が集まり、観光資源として定着した」と実感する。

 大会を盛り上げようと関係者は知恵を絞る。市観光コンベンション協会は今回、観戦中にフランス料理を楽しめるプランを企画した。「良質な食を取り入れ、新たな楽しみ方を提案した」と同協会の鈴木孝美(すずきたかよし)常務理事(63)。

 市はウェブ上での情報発信を強化し、18年から動画投稿サイト「ユーチューブ」でPR動画やレースを配信。昨年は計69万回再生された。さらにロードレースコース沿いの木を数年かけて伐採。今年からコース全体でドローンの空撮中継が可能となった。

 ただ観光地として知られる大谷地区はロードレースの舞台となる市森林公園に近いが、大会が「誘客に大きく影響していない」(市大谷振興室)のが現状だ。

 商業施設「ベルテラシェ大谷」では、昨年からレースのパブリックビューイングを始めた。小堀勇二(こぼりゆうじ)支配人(53)は「自転車を観光コンテンツに加えたいが、集客はこれから」。

 同地区では11月に観光周遊拠点施設「大谷コネクト」が開業する。松本剛(まつもとたけし)同室長は「拠点施設を活用し、大会と連動しながら大谷全体の振興につなげる取り組みが必要だ」と力を込めた。

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