県内子ども棋士も興奮 藤井八冠誕生「圧倒的終盤力」

  ●両親は金大出身

 「圧倒的な終盤力を見せつけられた」「粘りを参考にしたい」。藤井聡太八冠の誕生という歴史的な瞬間は、石川県内で将棋を学ぶ子どもたちに大きな刺激となった。藤井八冠の両親はいずれも金大出身。石川ゆかりの王者のさらなる活躍に期待する声が上がった。

 金沢市泉野町1丁目のカルチャースクール石心の将棋教室では11日、子どもたちの間で藤井八冠の対局に話が持ちきりとなった。

 金大附属小6年の萱野(かやの)輝生(てるき)君(11)は、2月に金沢で指された棋王戦の開始式で、藤井八冠に花束を渡した。「オーラがすごくて、むちゃくちゃ緊張した」と振り返る。得意戦法は飛車を定位置に据えて戦う居飛車で「藤井さんも居飛車一本で、あれだけ勝っているのがすごい。これからもタイトル戦で頑張ってほしい」と目を輝かせた。

 藤井八冠の両親は金大の先輩後輩にあたる。2月に金沢で行われた棋王戦5番勝負第2局前日の北國新聞社のインタビューに、藤井八冠は5歳の時に家族旅行で金沢を訪れたことがあると語っていた。

  ●「手に汗握る熱戦」 金沢出身・田中女流プロ

 動画中継で対局を見ていた女流プロ棋士の田中沙紀女流1級(金沢市出身)は「逆転に次ぐ逆転で、手に汗握る熱戦だった。自分もこの対局を並べて、少しでも何かを吸収したい」と飛躍を誓った。

 本紙朝刊で連載「コロナとの付き合い方」を執筆し、アマチュア八段の腕前を持つ日本医科大の北村義浩特任教授(加賀市出身)は「あれだけ追い詰めていた永瀬王座だが、1手間違えて終わりになった。藤井さんの圧倒的な終盤力を見せつけられた」と語った。

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