藤井聡太八冠誕生の真実 永瀬前王座の「痛恨の一手」 師匠と姉弟子はどう見たのか?

10月11日、前人未到の“八冠”を達成した将棋の藤井聡太八冠(21)。

弟子の大逆転劇を師匠はどう見たのか…杉本昌隆八段を12日、講演会のため訪れていた神戸で直撃しました。

(師匠・杉本昌隆八段)
「もしかしたら全冠制覇もありえるかなと思ったが、確信したのはきのうの夜8時50分くらい」

杉本師匠も、形勢が一気に逆転した永瀬拓哉前王座(31)の、終盤の「あの一手」が勝敗を分けたと指摘します。

(師匠・杉本八段)
「本人もすぐに気付いたはず。一手1分だから秒読みの時は見逃してしまったが、指した瞬間ににこっちが正解だったってわかるが取り返しの付かないミスになってしまった。あれが勝敗を分けた」

(大石邦彦アンカーマン)
「師匠はご覧になっていて、別の一手を打ってたら決まっていました?」

(師匠・杉本八段)
「決まってました。第三者だと分かるんですけど、対局者は朝の9時から10時間以上対局している。そして目の前にいるのが藤井七冠というプレッシャーや重圧は対局者にしか分からない」

劣勢だったはずの藤井七冠の「存在」がミスを誘った、と分析します。

(大石アンカーマン)
「永瀬さんが痛恨の一手をしてしましました。普通だとポーカーフェイスで相手に失敗したことを読ませないと思うんですけど、全部見せちゃいました」

(師匠・杉本八段)
「もう隠せないくらい痛恨の失着だったし、藤井さんが見逃してくれる訳がないと永瀬さんも分かってる。今までの長い付き合いで。あの時に永瀬前王座は自分の負けを悟ったんだと思う」

11日の「チャント!」に出演した際、「互いに持ち時間を使い切ってからの1分将棋が勝負」と見ていた、藤井八冠の姉弟子、室田伊緒女流二段は対局後、「あの一手」について…

(大石アンカーマン)
「あそこからの大逆転というのはあるんですか?」

(室田伊緒女流二段)
「永瀬さんが相手だったら普通はないです」

(大石アンカーマン)
「藤井さんも気づきましたかね?」

(室田女流二段)
「気づいたと思います。空気でわかるかな。永瀬前王座を見ると間違えたのではとわかると思う」

(大石アンカーマン)
「この1分将棋って怖いんですか?」

(室田女流二段)
「怖いです。1分将棋になったら慌てちゃうことが多くて、読みも途中で打ち切って決断しないといけない。1分以内で決断し続けないといけないので間違いやすい」

藤井八冠の「新時代」到来となるか、杉本師匠は今回の王座戦をこう振り返りました。

(師匠・杉本八段)
「実質、永瀬前王座が3勝1敗でもおかしくないような内容でした。永瀬前王座が本当に追い詰めていました。今回は敗れてしまったけれど、おそらく藤井八冠の一角を崩す最有力候補は永瀬前王座だと思います」

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