オール富山県産ますずし誕生 入善産海洋深層水育ち活用

全て県産のますずしを紹介する四谷社長(左)と佐藤副組合長=入善町の入善海洋深層水活用施設

  ●コメも県産、源と漁協/13日から1500食販売、伝統の味守る

 ますずし製造販売の源(富山市)と入善漁協(入善町)は、入善産海洋深層水で育てたサクラマスを使った「オール富山県産」ますずしを開発した。準絶滅危惧種のサクラマスは漁獲量が減少し、同社もこれまで県外産を使用しており、県産にこだわることで伝統の味を守っていく思いを込めた。13日から12月末まで約1500食を限定販売する。

 「伝承館ますのすし 富山湾入善海洋深層水で育ったサクラマス 越中富山名産 限定品」の名称で扱う。コメもコシヒカリを中心とした県産米を使い、源でも数人しかいない腕利きの職人が昔ながらの製法で手作りする。

 源の四谷英久社長、入善漁協の佐藤宗雄副組合長理事が12日、入善町の入善海洋深層水活用施設で会見した。「伝承館ますのすし」は源の高級品で、現状は主となる北海道産サクラマスの量が限られ、春、夏のみの取り扱いとなっている。

 四谷社長は県外産は冷凍で仕入れざるを得ないことを挙げ、「地元のサクラマスを生で使うことができ、鮮度がよく、安全性の高いものが提供できる。オール県産品を広め、郷土の味を未来につないでいきたい」と語った。佐藤副組合長は「養殖マスの大型化、安定生産の努力を続けてきて良かった。天然ものに劣らないおいしさになっている。富山の食文化継承に努めたい」と述べた。

 深層水サクラマスは近大、入善町、入善漁協で陸上養殖試験を行い、2018年に完全養殖、20年に大型化に成功した。入善沖の水深384メートルから取水し、約2年で3~5キロになる。清浄でミネラル豊富な深層水により安全性が高く、脂ののりも良くなるという。

 「深層水サクラマス 伝承館ますのすし」は2900円。JR富山駅、新高岡駅、源ますのすしミュージアム、金沢百番街あんと店で通常販売するほか、源の富山、黒部、砺波各インター店とオンラインショップで予約販売する。

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