釣り鐘戻り山田の寺に復興の音  流され発見、12年7カ月

長嶋建央住職が見守る中、復興の象徴となる鐘を鳴らす園児

 山田町船越の曹洞宗海蔵寺(長嶋建央(けんおう)住職)で11日、東日本大震災後初めて釣り鐘が突かれた。津波で流されたが見つけ出され、檀家(だんか)の地元建設会社が大切に保管。震災発生12年7カ月を前に建て直した鐘楼に戻った。歩みを重ねる地域の復興の象徴として、厳かな音色を届け続ける。

 秋晴れの下、突き初めを祝う式典を行い、檀家や地元の船越保育園(山崎智子園長、園児33人)の年長児7人ら約40人が順番に「復活の音」を響かせた。

 海蔵寺は震災津波で本堂や鐘楼などが全壊。その冬、敷地内に仮本堂を建て犠牲者の供養などに努めてきた。2021年7月にかさ上げした高台に本堂を再建し、今年9月には鐘楼が完成。地元の港建設が保管していた鐘が戻され、同寺の「再建」は完了した。

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