【会見】藤井聡太八冠が名古屋に凱旋 「たまには研究会に来て」との師匠からのお願いに苦笑

前人未到の快挙を成し遂げた、藤井聡太八冠(21)が、10月13日に地元・名古屋に凱旋。

午後5時すぎから、師匠の杉本昌隆八段とともに、名古屋駅前のミッドランドスクエア「天空の対局場」で、笑顔を交えながら会見に臨みました。トークセッションの模様です。

Q藤井聡太竜王名人、八冠を達成なさったあの瞬間から44時間が経過しました。
あの瞬間と今とでは、お気持ちにどんな変化がおありでしょうか?

(藤井聡太八冠)
「はい、王座戦の第4局はそうですね、苦しい局面の多い将棋でしたので、その終わった、終局した瞬間というのははなかなか実感がなかったんですけれども、それから2日ほど経ちまして、やはり実感や、達成感というのが徐々に湧いてきた。また一方でやっぱりその重みというのも改めて感じているところかなと思います」

Q同じ44時間、杉本昌隆八段の44時間はどんなひとときだったんでしょうか?

(杉本昌隆八段)
「そうですね、対局が終わって、翌日翌々日なんですけども、メディアの皆様には大変お世話なりましてありがとうございます。そうですね、いろいろな場所で取材を受けておりました。対局終了のときの藤井八冠の記者会見で何か『師匠は忙しいと思うので』みたいな発言があったんですけども、あれは暗に、『もっと師匠、将棋の勉強してくださいよ』みたいなことを言ってるのかなとちょっと思ったりもしながらね喜びの記者会見をかみしめていました」

Q藤井聡太竜王名人、八冠達成を一番喜んでくれる人をあえて挙げるとすれば、どんなお顔が浮かんできますか?

(藤井八冠)
「はい。そうですね、まずはこの隣にいる方でしょうか(笑)。ただそうですね、師匠ももちろんなんですけど、それだけじゃなくて、私がそんな子どもの頃から将棋を教えていただいたり、またその支えていただいた方には、本当にいい報告ができたかなと思いますし、一つの恩返しになったのかなと思ってます」

Qお隣でにこやかにうなずいていらっしゃる杉本昌隆八段、いかがでしょうか?

(杉本八段)
「そうですね、今の藤井八冠の言葉ってのは本当にうれしいです。私はやはりですね、自分の師匠ですね、板谷進九段の顔が浮かびました。そうですね、東海にタイトルを持ってくるというのが私の師匠、板谷進の長年の悲願でして。それは2020年、(藤井八冠が)棋聖を獲得したときに、一つ叶ったわけですけども。こんなすごい勢いで持ってこられると困るなと、きっと師匠がお元気だったら言っていたのかなとも思います。本当に喜んでいると思います」

Q未来を生きる子どもたちが将棋の面白さを感じ取っているのではないかと思います。藤井聡太竜王名人、子どもたちに将棋の面白さを伝えるとすれば、どんな言葉をお選びになりますか?

(藤井八冠)
「そうですね、将棋はその取った駒を持ち駒として使えるというのは大きな特徴、それによって中盤、終盤と局面が進むにつれて本当にその複雑さを増していくのが大きな魅力なのかなというふうに思っています。ただ、私が将棋を始めた頃にそういうことを思っていたかと言うとそういうわけではなくて、そうですねやはりその当時は、いろいろな種類の駒を動かす楽しさであったりまた、大人の相手であっても対等に勝負できることの喜びだったりそういったことを感じていたのかなと思います」

Q隣でまたうんうんとうなずいていらっしゃる杉本昌隆八段は?

(杉本八段)
「そうですね将棋の楽しさというのはやはり逆転のある競技ということかなと思いましてどんなに苦しくても辛抱していれば、最後に大逆転をして勝利を収めることもできる。そんなところが将棋の楽しさの一つなのかなと思ったりしています」

Q将棋を通して未来を担う子どもたちに伝えたいことはどんなことでしょうか?藤井聡太竜王名人お願いできますか?

(藤井八冠)
「はいそうですね、私自身が本当にその5歳の頃から将棋を始めて、これまでやっぱりずっと取り組んでくる中で本当に、なんというかいろいろな経験ができて、単純にその将棋の記録だけではなくて、すごく成長できたのかなと思っています。当時そういった、将棋という夢中になれるものに出会えたことが本当に幸運なことだったかなと思ってます。そうですね。子どもたちにも、なんだかそういった好きなこと、夢中になることを何か見つけてくれたらなと思います。それがもし将棋だったら自分としたらとてもうれしく思います」

Q杉本昌隆八段は、子どもたちにどんなコメントを?

(杉本八段)
「そうですね、私は子どもの頃に小柄だったんでね、身体が小さかったんですけども、将棋というものは年齢や体格に関係なく、大人とも対等に戦うことができる。将棋の上ではもうみな対等ということで、非常に子ども心に、強くなったら大人に勝てることもある。自分より年上のお兄ちゃんに勝てることもあるということで、それがすごい楽しかった記憶がある。なので、やった分だけ成長できる、強くなる。そして年齢に関係なく、何歳でも楽しめるのが将棋のいいところなのかなと思います。ぜひお子さんたちにも、またこれから将棋を知らない方にも覚えていただきたいなと思ってます」

Q勝つか負けるかの勝負に欠かせないこと。ズバリ、何だとお考えでしょうか?

(杉本八段)
「自分が諦めないことかなと思っておりまして、自分の中で諦めなければ負けではないと思っていますので、それが勝負には欠かせないのかなと思ってます」

Q藤井聡太竜王名人はいかがでしょうか?ズバリ何だとお考えですか?

(藤井八冠)
「そうですね、もちろんいろいろあるかなと思うんですけど、その一つは平常心かなと思います。そうですねこの将棋というのはやはり1局ごとに必ず勝ち負けがつくもので、もちろんそれが魅力でもあるんですけど、その1局ごとの勝ち負けというのはやはり、絶対勝とうと思っても、当然そうならないこともありますし、制御できないという面もあるので、どんな勝負であっても、普段と同じような気持ちで臨むという精神が心がけていることです」

Qいま一番したいことを伺ってもよろしいでしょうか?

(藤井八冠)
「いや、特に浮かんでいなかったんですけど、そうですね、今月はそうですね、これからも竜王戦であったり対局が続くことになるので、そちらでいい将棋を指したいという気持ちが一番強いかなと思います」

Q杉本昌隆八段は、今一番なさりたいこと、どんなことでしょうか?

(杉本八段)
「そうですね、ちょっと最近日が空いてしまっているんですけど、弟子たちの研究会をまた集中してやりたいなというのがありまして、藤井八冠以外にもたくさん弟子がおりますので、そんなね、彼ら彼女らを集めて勉強会を開きたい。最近、藤井八冠は忙しすぎて、なかなか来てくれないわけなんですけども。たまには来てくれないかな(笑)。答えなくていいです。そうです、1年に1回ぐらいね、来てくれるというか、新年会で顔をあわせたりはするんですけども、やっぱりみんな兄弟子、藤井八冠の八冠の活躍を見て、本当にやる気が出るというかね、板谷一門の誇りを持ってくれているので、はい。また弟子たちと勉強会を開きたいなと思ってます」

Qたまには来てくれないかなというリクエストがございましたが、藤井聡太竜王名人、いかがですか?

(藤井八冠)
「はい、そうですね…ちょっとこの場でちょっと言質を取られてしまうのはちょっとあれなんですけど(笑)。そうですね、なかなか、そうですね最近はそういったちょっと、そうですね、一門の研究会にも顔を出せていないんですけど。そうですね、というか日程が合えばどこかで。そうですね、結構最近私の師匠の一門も本当に人数が増えて、私自身まだ会ったことのない方もちょっと最近は増えてきたので、どこかでそういう機会を作れればとは思います」

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