枯れて白くなったネギ畑 “新系統の害虫” の被害広がる ネギ生産減・出荷遅れ 猛暑の中で何が起きた

高値が続く「白ネギ」ですが、広島市中央卸売り市場の白ネギの入荷量は、去年の同じ時期に比べて4割減っているそうです。一番の原因は、夏の猛暑・水不足の影響ですが、猛暑の中で新たな「害虫」の被害も広がっていました。ネギ畑で何が起きたのか? 広島・東広島市で取材しました。

東広島市 八本松町の農園「アグリ・アライアンス」です。6ヘクタールの畑で白ネギを栽培する大規模農家です。

アグリ・アライアンス 脇伸哉 さん
「これが、ハモグリバエが食べたあとです。外側を食べているんじゃなくて、中を…」

中を見ると、食べられたあとが変色していました。

脇伸哉 さん
「食べたあとがこんなになって枯れてダメになっちゃう。だんだん枯れていく」

最初に被害が見つかったのは6月でした。県の指導所から「犯人はハモグリバエB系統。農薬で防除するよう」に言われましたが、脇さんは、▽聞き覚えのある虫で、▽雨が降れば虫は流されることから静観しました。

脇伸哉 さん
「それが、どんどんひどくなって…」

猛暑で雨がほとんど降らない中、8月中旬、葉先が枯れたネギで畑全体が白くなっていました。

アグリ・アライアンスは、有機・低農薬栽培で品質の高い白ネギづくりを自負しています。しかし、無残な畑の姿にやむなく農薬を散布しました。

脇伸哉 さん
「通常だとこれくらいには成長してないといけないんですね。まだ短めなんですね」

今、虫の被害はほぼ止まりましたが、生育が遅れていて、今月中旬から予定していた出荷は1か月ほど遅れる見通しです。生産量も今シーズン3割ほど減る見込みです。

害虫の調査・防除にあたる県の指導所です。犯人は「ハモグリバエB系統」の幼虫でした。脇さんが知っているハモグリバエとは違う新たな系統でした。

広島県西部農業技術指導所 大政英司 主査
「形はほぼ一緒なんですけども、繁殖力が全然違う。激しく被害、葉に対して食害を及ぼすようなものがありまして」

県内では去年、初めて東広島市内の一部のほ場で見つかり、ことしは8つの市と町に被害が広がっています。県では、被害は限定的とみていますが、早期発見による防除を呼びかけています。

大政英司 主査
― なぜ、被害が広範囲に?
「わからないです。発生してまだ日が経っていないので、まだ研究がそこまで進んでいない」

一方、脇さんは、地球温暖化が影響しているのではないかとみています。

アグリ・アライアンス 脇伸哉 さん
「異常気象ですねよ、雨が降ってさえすれば、虫たちも流れて、こんなに繁殖することはなかったと思うんですね。虫が繁殖しやすい環境、温暖化によってというのは出てきていると思うので」

脇さんは、異常気象に耐えられる農業をしなければと気を引き締めていました。

― ハモグリバエB系統の被害は、これから気温が下がるので収束するとみられています。ただし、広島県は、来年以降、被害が拡大する恐れがあるとみて警戒していて、早めの防除を呼びかけているということです。

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