注目のニュースを解説委員の長島さんが分かりやすく分析・説明する「長島カイセツ」です。
(長島)
きょう取り上げるのは、JR広島駅周辺の再開発です。
これは、13日朝の様子です。2025年春の開業を予定する「駅ビル」は、先月末までに既に6割の工事を終えています。
これが駅ビルの全体像です。
2階から6階までは 商業施設、7階と8階には映画館が入ります。
他にも、高さ約100メートル20階建てのホテル。
7階などに設けられる広場は憩いの空間になりそうです。
その中で注目したのは、路面電車が2階に乗り入れる構造です。
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在来線4路線と新幹線が乗り入れる一大ターミナル。
建て替えはおよそ60年ぶりとなります。
以前の駅ビルの完成は1965年。商業施設が入居し、「民衆駅」と呼ばれました。
その10年後には、山陽新幹線開業に伴い、新幹線駅も営業を始めます。
2017年には全長180メートル余りの南北自由通路が開通し、改札は2階に設けられました。
その一方で、旧駅ビルは老朽化に伴い2020年に閉館。
現在も建て替え工事が続いています。
新しい駅ビルでは、「動線」が大きく変わります。
その象徴が、高架橋を経由しての路面電車の2階への乗り入れです。
■長島解説委員リポート
「路面電車の橋脚部分ができています。路面電車は大州通りをまたぐ形で、駅ビルの2階部分へと入っていきます」
広島電鉄によると、今年度中に「橋脚」の設置を終え、来年春以降に「橋げた」をかける工事を予定しています。
そして来年夏以降に、路面電車が乗り入れるフロアを整備。
新たにホームを設置する予定です。
広島駅の正面へと連なる「駅前通り」は、路面電車の新たな路線建設のため、現在舗装が掘り返されています。
これに伴う、レールの敷設も進んでいます。
現地では重さ4トンほどのブロックに分割したレールを組み合わせ、新たな路線を延伸しています。
■広島電鉄 電車事業本部 駅前プロジェクト推進部 八木秀彰課長
「JRの駅ビル2階に路面電車が乗り入れることが日本では初めてではないかと思うし、路面電車を高架で上げていくということも当然当社では初めて。市民の方がそこに集っていただけることと、心地よい空間を作り上げていくというところに集中しながら関係者とデザインを検討している最中。」
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(馬場)
広島駅に直結することになる路面電車について、詳しく教えてください。
(長島)
広島電鉄は、JR広島駅への乗り入れに伴い、約1.2キロの「駅前大橋ルート」を新設します。
広島駅を出発した路面電車は駅前大橋を直進し、稲荷町交差点から比治山町交差点に向かいます。
また、これまで通り、稲荷町交差点からは紙屋町方面に向かうこともできます。
新しいルートができることで、市内中心部までおよそ4分の時間短縮を見込みます。
続いて、駅ビルの内部を見ていきます。
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新たな駅ビルの着工は、2021年2月。
既に2年半余りが経過しています。
■長島解説委員リポート
「ビルの7階はホテルのロビーとなります。その外は屋外広場となって、市民の皆さんに開放されるということです」
広場にはウッドデッキを設置。
コンサートなどの催しも開催できるとしています。
続いて、地上およそ100メートルのホテル最上階の20階に向かいます。
ホテルは、JR西日本のグループが運営するブランドの入居を予定しています。
客室は約400室。レストランも併設されます。
■長島解説委員リポート
「ホテルのそれぞれの部屋には1.8メートル四方の巨大な窓があります。ここからは広島市内を一望することができます」
最上階南側からの眼前には、瀬戸内の島々が広がります。
他の部屋からも、方角によって、新幹線やマツダスタジアムの風景を楽しめるのも、魅力の一つです。
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(井上)
交通や宿泊以外にも、様々な楽しみ方が出来そうですね。
(長島)
広島駅から周辺のビルの間に、「ペデストリアンデッキ」を設置。
憩いの場として緑化を進め、人が集える活動的な空間を目指します。
(木村)
これだけ大規模なプロジェクトはなかなかないのでは?
(長島)
この工事のポイントはJR・広島電鉄・広島市の3者が連携していることです。
今は駅前にJRがビル建築のための重機を入れていますが、12月頃にはこの重機が移動して、広島電鉄のホーム設置の重機が入ります。
このタイミングがずれると工期に影響が出てしまいます。
特にJRと広島電鉄は、同じ公共交通機関としてライバル関係にあるが、再開発のために連携するという、全国でも珍しい例です。
待ち遠しい新しい駅ビルの開業は1年半後の2025年春です。
【2023年10月13日】