佐野の林道作原沢入線 来年4月、5年ぶり通行止め解除へ 林業や観光振興に弾み

通行止めとなっている林道作原沢入線

 【佐野】大雨による大量の土砂の流出などで、2019年春から続いている市と群馬県みどり市を結ぶ広域基幹林道・作原沢入(そうり)線の通行止めが、来年4月にも解除される見通しが出てきた。県の治山工事が年内にも完了する予定であることを受け、市は落石除去や路面清掃などを行い安全な通行状態となったことを確認し、通行止めを解除する方針。解除されれば、みどり市に抜けるのは約5年ぶりとなり、市が力を入れる林業や広域観光などの振興に弾みが付くと期待される。

 同林道は作原町とみどり市東町をつなぎ、総延長は20.7キロ(佐野市側13.8キロ、みどり市側6.9キロ)で、車道は幅4メートル。1990年度に着工し17年に開通した。しかし19年春、大雨の影響で山の斜面が崩落し大量の土砂が流出。その後も同10月の台風19号などがあり、現在も佐野市側の恵比寿橋-県境間が通行止めとなっている。

 同林道は市の林業振興の重要インフラ。また緩やかなカーブで眺望にも優れていることなどから、ドライブやサイクリングコースといった観光ルートとして人気も高く、市などには復旧時期の問い合わせが続いているという。

 復旧に向けた工事では、県の治山工事の年内終了が見込まれ、市による橋の補修工事やのり面の改良工事も年度内に完了する予定で、金子裕(かねこゆたか)市長は「24年4月頃の通行止め解除を目指している」としている。

 市は同林道を観光拠点の一つに位置付け、25年度に目玉となる展望台の建設に着手する。緑豊かな中山間地域の北部を「奥佐野」として売り込みたい市にとっては、みどり市との観光交流の強化はポイントの一つ。通行止めが解除されれば、今後さまざまな取り組みを進める上で大きな力となりそうだ。

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