【独自】広島・遺体切断遺棄事件 被害者の息子が初めて語った“後悔” 容疑者は“家族同士の付き合い” 見つかった父の遺体は「他殺の可能性がある」と言われ…

広島市でおととし、知人男性の遺体を切断し遺棄したとして、今月31歳の男が逮捕されました。遺体となって見つかった男性の遺族がRCCの取材に応じ、初めて胸の内を明かしました。

被害者・植木秀俊さんの息子:植木俊太さん
「どうして、と。何があったのか話してほしいという思いがあります」

2人の間に一体なにが 被害者の息子が語った父の“行方不明“

事件が起きたのはおととし10月。広島市佐伯区の渡部大地容疑者(31)が佐伯区内の住宅で、知人の植木秀俊(70)さんの遺体を刃物などで切断し、一部を海などに遺棄したとして逮捕されました。

警察によりますと、遺体の一部はおととし11月に山口県の海岸で、ことし4月には佐伯区の海岸で見つかっています。

渡部容疑者は調べに対して容疑を認めていますが、残る遺体の一部はいまも見つかっておらず、遺体を切断するのに使用された刃物についても、警察は特定には到っていないとしています。

2人の間には一体なにがあったのでしょうか。被害者である植木さんの息子・俊太さんが事件後、初めて取材に応じました。

植木俊太さん
「父は同居していた母親(=俊太さんの祖母)を連れて、僕の出張先に遊びに来てくれました。休日を利用して3人で観光して…車に乗って帰る父を見送ったのが、最後になりました」

関東に住む俊太さんが父親の行方不明を知ったのはおととし10月31日。当時、植木さんと親しい間柄だった渡部容疑者の祖母からの連絡でした。

植木俊太さん
「(渡部容疑者の祖母から)父と連絡がとれないということで連絡がありました。僕もあわてて確認をして…」

容疑者の祖母が警察にも連絡してくれましたが植木さんは見つからず、植木さんの妹(=俊太さんの叔母)とも連絡を取り合い、行方不明の届け出をしたということです。

植木俊太さん
「急にいなくなってしまって、(同居する母親の)介護疲れじゃないかと。(自死の可能性など)最悪の事態は頭をよぎっていました」

植木さんの携帯電話や財布は残されたままで、行方不明時に乗っていたとみられる軽乗用車は、数日後に佐伯区の駐車場で見つかっていました。

植木俊太さん
「(警察は家や車に)争った形跡がないと。遺体も凶器も、なにも怪しいものはない状態。警察からも事件性は低いと伝えられ、当初は事件性はないと僕らも思っていました」

その後も植木さんの行方は分からず、手がかりもないままでしたが、ことしになって俊太さんに警察から連絡がありました。

植木俊太さん
「(警察から)歯型がお父さんと似ている方のご遺体が見つかったのでDNA鑑定をしたいと。その1週間後に連絡があって家族としてDNAが一致しましたと」

行方不明からおよそ2年、佐伯区で打ち上げられた遺体は父親・植木さんのものでした。続けて警察から伝えられたのは、俊太さんが予想もしていなかったものでした。

植木俊太さん
「(警察は)『もしかしたら他殺の可能性がある』と」

その後の調べで、おととし11月に山口県の海岸で見つかった遺体の一部についても植木さんのものと判明しました。

事件が起きたとされる住宅を植木さんは度々訪れていました。俊太さんも過去、この家に行ったことがあると言います。

父と容疑者は“家族同士の付き合い” 息子が語った後悔

家森亮記者
ーその時は容疑者も一緒にいたんですか?
植木俊太さん
「いました」
ーどんな印象でした?
植木俊太さん
「やっぱりおとなしい印象。自分から積極的に喋るということはあまりしない人ですね。受け答えに関しては静かすぎるなとは感じました」

家族同士の付き合いだった、植木さんと渡部容疑者。事件当日、家には2人きりだったとみられています。俊太さんが父親の声を最後に聞いたのは、事件のおよそ1週間前でした。

植木俊太さん
「『たまには帰って来いよ』と言われて、『今度いつ帰る?』みたいな話もしていて。そのときは、仕事も忙しくてなかなか日程組むことができないなという話をしました。今でも自分が広島に帰っていれば事件も起きなかったのかなという思いもあります」

警察は2人の間に何らかのトラブルがあったとみて、殺人の容疑も視野に事件の捜査を続けています。

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