東町保存会の御神像改修、魂戻す 富山・八尾曳山祭280年の歴史で初

改修した御神像を見せ、あいさつする新井さん=東町公民館

 毎年5月3日に富山市八尾町中心部で開かれる越中八尾曳山(ひきやま)祭に向け、東町曳山保存会(長瀬篤司会長)が、曳山に載せる御神像を改修した。住民によると、御神像の改修は約280年の祭りの歴史で初めて。14日は同市八尾町下新町の八幡社で、魂を再び宿す神事が執り行われた。

 富山市八尾町中心部では、東町を含めた6町が1基ずつ曳山を受け継いでいる。曳山は2層の屋台形式で、上層に御神像を載せる。東町の御神像は小野小町と深草少将で、1745年から継承。髪の老朽化が目立っていたため、県や市の補助金を活用して改修することにした。今年5月の曳山祭後に魂を抜く神事を執り行い、像を岐阜県高山市の業者に預けた。

 神事には住民ら約30人が出席。八幡社の葛城禎之宮司がおはらいした後、祝詞を奏上し、住民らが順に玉串をささげた。神事後、御神像を御所車に載せて東町公民館に運び、山蔵に納めた。長瀬保存会長(67)は「無事に神事を終え、町に神様が帰ってきてよかった」と話した。

 東町は2020年以降、御所車や御神像を安置するほこらも改修した。同町自治会長の新井弘さん(68)は「きれいな状態で若い世代につなぎたい」と語った。

神事を終え、御神像を御所車に載せて東町公民館へ運ぶ住民ら
おはらいを受ける出席者=八幡社

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