「もはや建造物」長さ400m!世界最大級コンテナ船に潜入!巨大船を動かすのはまさかの小さなハンドル!? 使われたペンキの量は…

全長約400メートル、2万4000個のコンテナを積み込むことができる超巨大貨物船。その世界最大級の船が、愛媛県で建造されています。その中は一体どうなっているのか?内部に潜入しました。

長さは400メートル!世界最大級のコンテナ船

穏やかな瀬戸内海に浮かぶ島々を結ぶ海の道。しまなみ海道です。海上交通の要衝・来島海峡には大小様々な船が行き交います。

その中に、異彩を放つ鮮やかなピンク色の船の影が見えてきました。

今治造船西条工場で建造された世界最大級のコンテナ船「ONE INTEGRITY(ワン・インテグリティー)」です。この船は、全長約400メートル、幅は60メートルを超えます。

そして巨大コンテナ船は、橋の下を通過。スレスレのようですが、これでも潮が引くタイミングを狙ったんだとか。

400メートルの船体は、約1分かけて橋の下を通り抜けて行きました。

愛媛生まれの超巨大コンテナ船。この巨大さなら、建造されている時からかなりの存在感を振りまいていたはず。

日ごろから、造船所の近くで船が作られていく様子を見ていた人たちに話を聞いてみると…。

(造船所近くで勤務する男性)
「近くで見て大きいなと思って。もう建造物ですね、船というよりもビル感覚」
(造船所近くで勤務する女性)
「人があんなにデカいものを作ると考えると、すごいなと」

そして我々、船の建造現場に潜入です。

超巨大コンテナ船に潜入!

世界最大級のコンテナ船「ONE INTEGRITY」。
同型船と合わせて6隻が建造されていて、このうち2隻を今治造船西条工場が手掛けています。

(今治造船・中村 昌平さん)
「今までこの工場で作った船の中でも、一番大きな船になる」

完成を目前に控えた世界最大級のコンテナ船。その船内を特別に案内してもらいました。

まずは高さ33メートル上ります。長さ400メートルの船ともなれば、その高さも相当なものです。階段を上って、上って、上って…。ものすごい高さ、絶景です。

次に案内してもらったところは、2階にある居住区。長期間の航海をするコンテナ船で、居住区は、乗組員にとって職場であり生活の場でもあります。

見慣れない階数表示のエレベーターに乗り、更に上へ。高さ70メートル、操縦席のあるフロアに到着しました。その眼下には、2万4000個のコンテナを積み込むことのできるスペースが広がります。

夜間の航海に欠かせないレーダーに、水深や障害物が表示される電子海図、そして電灯を遠隔操作するパネル。最新の船とあって、あらゆる情報が液晶画面に集約されています。

取材した記者も、実際に舵を切らせてもらいました。これが予想外に軽い!舵を切るのは、車のようなハンドルです。この巨大船がまさかハンドルで操作できるとは、驚きです。

ただ安全確認には、やはり人の目が欠かせないようで…。

ブリッジの両側に張り出した部分、その足元にはガラスが張られていて、真下をのぞくことができるようになっています。船を接岸させる時、足元のガラス越しに岸壁の様子などを確認しつつ「バウスラスター」という装置を操作して微調整するんだそう。すごい高さ、怖いです。

続いてキャプテンルームへ、船長室です。船内には、衛星電話回線によるWi‐Fiが接続されていて、インターネットも快適に使えるそうです。

乗組員の全員に個室が用意されているほか、ギャレー(調理場)も備わり、航海中の楽しみの1つである食事の用意も完璧です。

冷蔵室、冷凍室、そして野菜室まであり、缶詰など保存の効くものも多く、食材は豊富そうです。

次に向かった先は、エンジンルーム。最上階から地下へ進みます。

白い光が照らし出す廊下には、整然と並ぶパイプ。その先の部屋を目指して、ひたすら歩いて、歩いて、歩くと、いくつものフロアを貫いて鎮座する金属の塊が。巨大船を動かすエンジンです。先にエンジンを積み込んだ状態で、船を組み上げたそう。

約6万1600馬力を発生させるこのエンジンが、直径約10メートル、重さ100トン近いプロペラを回します。

ついに出港! 工場長「我が子の結婚式のような…」

(城 健大呂記者)
「巨大なスクリューが回り始めました」

完成した巨大船が、ゆっくりと岸壁から離れていきます。この日、建造に携わった多くの人に見守られて、造船所を離れていきました。

青にひと際映える鮮やかなピンク色の船体。塗装には、20キロの缶入りペンキが実に6万2000本使われたそうです。

(今治造船・東 照史工場長)
「苦労という言葉はあまり好きではないので…(言い換えるとするなら)まぁ『難しかった』とかですね。難しいところは数えればキリがない。我が子の結婚式で、自立させるような感じですね」

2万4000個のコンテナを積み込むことのできる、世界最大級のコンテナ船「ONE INTEGRITY」。その隣で建造が進められている同型船も、間もなく完成する見込みです。

ピンク色の巨大船は合わせて6隻体制となり、世界で戦う日本の海運企業にとって大きな戦力となると期待が寄せられています。

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