16年ぶりのJ1復帰目指す東京Vに追い風! 梶川諒太が水戸とのTMで約半年ぶりの実戦復帰「まずは元気な姿を見せられて良かった」

当初全治8カ月と伝えられるも梶川諒太が半年で実戦復帰(写真は今年2月のもの)[写真:©︎CWS Brains, LTD.]

16年ぶりのJ1リーグ昇格を目指す東京ヴェルディに頼もしいベテランMFの戦列復帰という追い風が吹いている。

東京Vは15日、AGFフィールドで水戸ホーリーホックとのトレーニングマッチ(45分×3)を実施した。

2-2のドローという結果に終わったこの一戦では、今年4月から長期離脱を強いられていたMF梶川諒太が約半年ぶりに対外試合への出場を果たした。

今シーズンの明治安田生命J2リーグ開幕から全試合に出場し2ゴールを挙げる活躍をみせ、東京Vの開幕ダッシュの牽引車の一人となっていた梶川。だが、4月8日に行われた第7節の清水エスパルス戦の試合中に右ヒザを負傷。その後、右ヒザ前十字じん帯損傷の診断を受け、クラブのリリースでは全治に約8カ月を要する見込みと伝えられ、今シーズン中の復帰は絶望的とみられていた。

それでも、キャリアを通じて真摯に自らの身体と向き合ってきた34歳MFは、周囲のサポートを受けながら驚異的な回復力をみせ、受傷から約5カ月を経た先月初旬からチームトレーニングに部分合流。その後も順調にコンディションを上げ、今回の水戸戦では待望の対外試合での実戦復帰を果たした。

メディカルスタッフのアドバイスやコーチングスタッフの慎重な起用法もあり、30分限定でのプレーとなったが、持ち味のコーチングで周囲を動かしつつ、ボールを受けた際には小気味いいパス捌きで局面の打開やテンポを作る、ブランクを感じさせないパフォーマンスを披露した。

梶川はいくつかの課題を口にしながらも「思ったよりもスムーズに入っていけた」と約半年ぶりの実戦復帰への手ごたえを口に。とりわけ、自身にとって生命線ともいえるボールタッチの感覚に関して大きなずれはないという。

「自分的にはもう少しやれる感覚がありましたが、疲れが出てきたタイミングでアクシデントが出ないようにという配慮もあったと思うので、まずはこの30分にすべてを出し切ろうと思ってやっていました。それができて良かったと思います」

「思ったよりもスムーズに入っていけたと思います。まだまだ個人的に上げていかないといけない部分もありますが、ケガせずにしっかりとこの試合を終えたいと思っていましたし、そういう意味では良い形で練習試合の復帰になったと思います」

「トレーニングの段階からそうでしたが、いろんな方から感覚が戻るまでに時間がかかるから、自分の感覚とのずれにあまり焦らないほうがいいと言われていました。ただ、そこまで感覚のずれを感じていなかったので、リハビリの段階からいろんな選手やコーチングスタッフに付き合ってもらったりしながらやっていたので、そういう意味では思ったよりもスムーズにできていると思います」

また、この一戦は一般公開となり、試合当日はあいにくの雨となったものの、熱心なファン・サポーターは“緑の4番”の実戦復帰を見守り、交代時には温かな拍手が送られた。

やはり一人のサッカー選手として、そういったファン・サポーターの反応は、ここまでの厳しいリハビリを経て復帰を果たした実感をより強く感じさせるものとなったようだ。

「当初は(全治)8カ月と出ていたので、思ったよりも早くに練習、ゲームに復帰できました。今日、自分が出ることを分かっている方はたくさんいたと思うので、まずは元気な姿を見せられたことは良かったと思いますし、ああいう形で『おかえり』とやってもらえて気持ち的にグッとくるものがありました。厳しいリハビリ期間でしたが、しっかりと取り組んでこられて良かったと思います。まずは本当にいろんな支えに感謝したいと思います」

この復帰戦では“コイカジ”の愛称で知られ、ピッチ内外での良き相棒であるMF小池純輝が2ゴールを記録し、相棒の復帰をゴールで祝った。梶川はその相棒との久々の試合での共演を含め、改めて仲間たちとサッカーをする喜びを噛みしめている。

「紅白戦から同じチームでやっていて、やっぱり感覚的にやりやすいと思っていましたし、点を取る感覚はさすがだなと思いました。そういう意味ではまずは一緒に試合でプレーすることができて楽しかったです。それは純輝くんだけでなく今日一緒に出た選手もそうですし、みんなとプレーする楽しさ、普通にサッカーができることのありがたみを感じました」

現在、3位の東京V(勝ち点65)は自動昇格圏内の2位・清水エスパルス(勝ち点67)と2ポイント差。一方で、昇格プレーオフ圏外の7位・ヴァンフォーレ甲府(勝ち点57)とは8ポイント差だ。

残り4試合では同勝ち点で並ぶ4位のジュビロ磐田、4ポイント差で5位のジェフ・ユナイテッド千葉を含めた自動昇格争いを戦いつつ、より高い順位でのプレーオフ進出を視野に入れた、痺れる最終盤の戦いに臨む。

徳島ヴォルティスで2020シーズンのJ1昇格を経験し、V・ファーレン長崎、東京VでJ1昇格プレーオフを戦ったベテランMFは、自身の役割を含めて今季残りの戦いに向けた決意を語った。

「選ぶのは監督やコーチングスタッフになると思いますが、自分がやれることはそこの競争に入っていくことですし、それによってメンバーの争いのレベルをもう少し上げていければと思います」

「あとは自分が周りに伝えるコーチングだったり、しゃべることを得意としているので、練習からしっかりと要求しながら試合に絡んでいない選手もそこでレベルアップしていければ、よりチームとして強くなることができるので、残りリーグ戦は4つですが、少しでもその力になりたいと思っています」

「みんなの頑張りで、この段階でも自動昇格を狙える位置でずっと戦うことができています。ただ、あまり深く考えすぎて硬くなってしまってもしょうがないので、まずは一つひとつの試合を大事にしながらという感じ。絶対にこのメンバーで来年も戦うことはないですし、そういう世界でやっているので、みんなと過ごす一日一日を大事にしながら、このメンバーでしっかりと上がりたいと思います」

残りのリーグ戦4試合、その後のプレーオフの可能性を含め梶川がどこまで試合に絡んでいけるかは現時点で不透明な部分もあるが、卓越した戦術眼、ピッチ内外における献身性に加え、現スカッドにおいて貴重なリーダーシップ、発信力のあるベテランMFの復帰は、名門の16年ぶりのJ1復帰へ間違いなく追い風となるはずだ。

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