ストーカー被害113件 県警上半期まとめ 摘発・警告、過去5年で最多 危機意識高まり相談増か

 栃木県警が今年上半期(1~6月)に認知したストーカー被害は前年同期比26件増の113件で、2019年以来4年ぶりに100件台に増加したことが17日までに、県警のまとめで分かった。ストーカーの摘発件数は11件増の21件、警告件数は33件増の102件に上り、いずれも過去5年で最多だった。福岡市では1月、女性が元交際相手の男に刺殺される事件が発生。県警はこうした事件の影響などにより「不安や危機意識が高まり、相談件数の増加につながったのではないか」とみている。

 県警人身安全少年課によると、県内のストーカー被害はストーカー規制法施行の翌年の01年から統計を取り始めた。上半期の認知件数は13年の303件をピークに減少傾向が続き、21年の85件が最少だった。

 22年は2件増の87件。今年は113件となり、増加傾向が続いた。県警は要因として、全国で発生するストーカー事件による危機意識の高まりを指摘する。

 摘発件数は11件増の21件で過去5年で最多。19年が19件、20、21年がそれぞえれ18件。22年は10件で今年上半期は2倍に増えた。容疑はストーカー規制法違反や暴行、傷害の疑いなどだった。

 警告件数は102件で33件増え、過去5年で最も多かった。ストーカー規制法に基づく禁止命令は10件増の19件、文書警告は2件減の1件。口頭警告が25件増の82件で8割超だった。

 県警はストーカー行為を認知した場合、行為者へ早期の警告などを行っている。重大事案に発展した具体例などを被害者に説明して被害届の提出などを促し、摘発に結びつけている。

 重大事案を防ぐため、県警は緊急通報装置やドライブレコーダーの貸し出しや、防犯カメラの設置などの対策を進めている。高木克尚(たかぎかつひさ)生活安全部長は「行為がエスカレートする恐れもあると皆さんに認識してもらい、悲惨な事件を防ぎたい」と話している。

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