静岡大学と浜松医大の再編の行方は? 静岡大が新たな “再編案” の協議 浜松キャンパス側は反発

静岡大学と浜松医科大学の再編の合意から4年。新たな展開を迎えました。現在、合意書とは異なる再編案が静岡大学で議論されています。大学再編の行方は?

(川口記者)

「関係者が集まり始めました。これから評議会が始まります。再編問題に進展はあるのでしょうか」

こう着状態が続いていた静岡大学と浜松医科大学の再編問題。18日、事態が動き出しました。静岡大学は18日の評議会でこれまで合意案とは異なる「1大学2校」の再編案について協議を行っています。

2019年、少子化時代の生き残りをかけ、魅力ある大学を目指すため、静岡大学と浜松医科大学は大学再編の合意書を交わしました。

(2019年 静岡大学 石井 潔 学長(当時))

「高齢化が進む中で介護や医療といった観点が地域連携の中で入ってこないのが大きな弱点だった。医学分野、看護分野が入るのは大変ありがたい」

合意により、2つの大学は2021年度から運営法人を1つに統合した上で、医学と工学などが連携する「浜松地区の大学」と「静岡地区の大学」に再編することが決まっていました。

しかし、静岡地区の新大学は今より規模が縮小する恐れがあるなどとして、静岡キャンパス内では一部の教職員らが反対。

さらに、静岡市長や市の関係者が「静岡市のメリットはない」と懸念を示すなど、地域を巻き込んだ展開に。そして、2021年学内の合意形成ができていないとして、計画が延期されることになりました。

2021年度からは、再編に慎重な静岡キャンパスの日詰一幸教授が学長に就任。内定時の会見では…

(2020年 静岡大学 日詰一幸 学長)

「法人統合に向けてかじ取りを始めているので、少なくともそちらの方向に向かって止まることなく進むことができるように力を 尽くしたい」

その後、合意書の締結から4年が経っても、再編問題に大きな進展はありませんでした。

こうした中、16日に「再編推進派」である浜松キャンパスの工学部などの部局長らが、急きょ会見を開きました。

(静岡大学 川田善正 副学長)

「最近の学内の議論では、合意書の白紙撤回を視野に入れた議論が一方的に進められ、静岡大学の発展の機会を喪失してしまうのではないか」

静岡大学の日詰学長が、合意書とは異なる「1大学2校」の再編案の検討を進めていて、18日に行われる学内の評議会で、静岡大学の正式案とすることを目指していると明らかにしたのです。

合意した再編案を「事実上 白紙」となった場合、再編そのものがなくなる可能性もあるといいます。

(静岡大学 川田善正 副学長)

「一度、浜松医大に1大学2校案を提示して、これは受け入れられないと言われている。それを成案として持って行っても、浜松医大は受け入れないだろう。(日詰学長は)その場合には、(再編の)白紙撤回を覚悟の上と言っている」

浮き彫りとなった、静岡キャンパスと浜松キャンパスの“深い溝”。大学再編をめぐる混乱を、学生たちはどう考えているのでしょうか。

(浜松キャンパスの学生)

「研究内容でも医学と絡んでいるものもあるのでメリットはあると思う。フラットな目で見ている」

(静岡キャンパスの学生)

「学内でもめていると、統合する以前に大学としての価値が落ちてしまう。決めるならきっぱり決めないと(大学の)印象が悪くなってしまう」

(静岡キャンパスの学生)

「受験生が静岡大学の受験やめようと、離れて行ってしまう、早急な解決を求めたい」

大学の未来に向けた議論は、どのような結果になるのでしょうか。

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