【中国】一帯一路向け投資案件続々、シノペックなど[経済]

中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際フォーラムが18日まで北京市で開かれ、フォーラムに出席するため各国要人が訪中したタイミングに合わせて中国政府と企業が一帯一路沿線国での投資、提携を相次いで発表している。中国石油最大手の中国石油化工集団(シノペック)は17日、カザフスタンのポリエチレン事業に3割を出資すると発表した。

事業の権益をカザフスタンの政府当局などから取得する。手続きは来年第1四半期(1~3月)に完了する見通し。出資額は明らかにしていない。

カザフスタン最大のポリエチレンプラントをアティラウ州の油田近くに設ける計画で、年産能力は125万トン。現在は設計段階にある。

シノペックはカザフスタンに高純度テレフタル酸(PTA)とポリエチレンテレフタレート(PET)の製造設備を設置することも検討する。

同業の中国石油天然ガス集団(ペトロチャイナ)も17日、カザフスタンでの油田開発の期間延長と提携範囲の拡大に同意した。ペトロチャイナのカザフスタンでの油田開発による過去20年余りの累計生産量は原油が1億5,000万トン、天然ガスは800億立方メートル。現在の年産能力は原油ベースで3,000万トン。

2社の調印式にはカザフスタンのトカエフ大統領が出席した。

■複数国と提携

ニュースサイトの界面新聞などによると、中国とカザフスタンは17日、両国間の投資や貿易、金融などに関する契約を締結した。総額は約165億米ドル(約2兆5,000億円)。宅配大手の圓通速逓(YTOエクスプレス)はカザフスタンに中央アジア本部を設置する計画だ。現地の郵政企業と組んで同国市場に参入する。

中国商務省は17日、中国とセルビアが自由貿易協定(FTA)を締結したと発表した。税目9割の関税を双方ともに取り消す内容で、早期の発効を目指す。中国のFTA締結は22件目。

鉄道車両大手の中国中車集団(CRRC)は17日、セルビアに高速鉄道車両(動車組)を販売する契約を交わした。4両編成5本(20両)を供給する。欧州への高速鉄道の供給は初めて。最高時速は200キロメートルで、販売額は約4億2,000万元(約86億円)。車両は25年に運行を始める見通し。CRRCはカザフスタンとチリの政府系企業とも提携の意向書を締結した。

中国建材集団は同日、ポーランドでの太陽光発電所の設計・調達・建設(EPC)契約とマレーシアでのセメント生産ラインを活用した余熱発電事業の建設契約をそれぞれ締結したと発表した。太陽光発電所の設備容量は400メガワットで、余熱発電は10メガワットの規模。

17日には多くの中国上場企業が一帯一路関連の投資案件を発表し、建設事業の東華工程科技は南アフリカ企業とチタン関連製品工場のEPC契約を締結。嘉友国際物流はザンビアでの道路建設などに着手する。太陽電池材料メーカーのTCL中環新能源科技は、サウジアラビアに太陽電池用シリコンウエハーの合弁工場を設ける。

国家発展改革委員会(発改委)は17日、エチオピアやハンガリー、チリ、パプアニューギニアとそれぞれ一帯一路で提携する文書に署名した。製造業やエネルギー、鉱業、科学技術、デジタル経済、インフラ建設など幅広い分野で協力する内容。

■5兆元超を貸し出し

中国国家金融監督管理総局によると、中国の銀行による一帯一路沿線国向けの貸出額は22年末時点で計5兆4,000億元。このうち政策性銀行は3兆1,000億元、大型商業銀行は2兆3,000億元だった。

中国の13銀行は今年6月末時点で50の沿線国に145カ所の拠点を設置。中国の保険6社は8カ国に15カ所の拠点を展開する。

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