行楽の秋に続くクマ被害 県内施設、警戒強め

閉鎖されたままとなっている小松市の木場潟公園東園地

  ●木場潟公園閉園続く 辰口は遊歩道通行止め

 石川県内でクマの出没が相次ぎ、里山周辺の施設で警戒が強まっている。11日に男性がクマに襲われる被害が発生した小松市の木場潟公園東園地はいまだ閉鎖が続き、能美市の辰口丘陵公園では遊歩道を通行禁止とした。爆竹の音でクマを遠ざけたり巡回を強化したりする公園もある。富山市では17日にクマに襲われたとみられる女性が死亡し、秋の行楽シーズン真っ盛りに、石川でも緊張感が一層高まった。

 「予約の申し込みに応えられず残念だが、安全第一で運営したい」

 木場潟公園東園地の指定管理者のスタッフは、開園の見通しが立たない現状に理解を求めた。

 県南加賀土木総合事務所などの調査では、クマがいた森林を囲む高さ約2メートルの柵のうち2カ所で上部がひしゃげた部分が見つかった。クマが柵を乗り越えて侵入する可能性を否定できないことから、対応策や開園時期を慎重に検討しているという。小松ライオンズクラブが21日に予定していた太陽電池式屋外ポール時計の除幕式を延期するなど、利用者への影響も広がっている。

 辰口丘陵公園は12日から、園内のボート乗り場や多目的広場につながる遊歩道3本に柵を設置し、当面の間、通行禁止にした。張り紙や園内放送でも来園者に注意を呼び掛けている。今シーズンは園内での目撃情報はなく、担当者は通常の営業は続けるとした上で、「園の近くで目撃情報が増えており、安全を最優先に万全の態勢で運営に当たる」と話した。

  ●来園をキャンセル

 夕日寺健民自然園(金沢市)では、クマの出没情報が増えていることを理由に、こども園から外遊びでの来園をキャンセルすると連絡があった。「来園したいが、クマは大丈夫なのか」との問い合わせも寄せられているという。

 園内の監視カメラでは13、14日の未明、林にいるクマの姿が捉えられた。担当者が爆竹を鳴らしたり、巡回を行ったりして警戒。注意喚起の看板を人目につく入り口などに設置し、来園者には鈴やラジオを身に着けるよう求めた。徳山芳文園長は「不安な来園者がいると思うので、クマが出ないようにできるだけの対策をしたい」と話した。

 奥卯辰山健民公園(金沢市)では巡回の人員を1人から2人に増やし、一日に計4回、クマやイノシシがいないか目を光らせている。

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