静大再編1大学2校正式案提示に浜松医大「遺憾である」 協議は難航か…(静岡県)

大学再編をめぐり静岡大学は、浜松医科大学と、もともと合意していた案とは違う「1大学2校」案を正式な案とする方針を決めました。これについて、19日、浜松医大は「遺憾である」とコメントしていて、再編に関する協議は難航するとみられます。

18日夜、静岡大学内で行われた大学再編に関する会議。

(静岡大学 日詰 一幸 学長)

「最終的には静岡大学のビジョンということで、会議として認めいただいた」

静岡大学側で事態が大きく動きました。静岡大学と浜松医科大学は、運営法人を1つに統合した上で、医学と工学などが連携する「浜松地区の大学」と「静岡地区の大学」に再編することで、2019年に合意しました。しかし、静岡地区の新大学は、今より規模が縮小する恐れがあるなどとして、静岡キャンパス側が猛反対し再編は延期に・・・。さらに、2年前、再編に慎重な静岡キャンパスの日詰一幸教授が学長に就任。合意書の締結から4年がたちますが、こう着状態が続いていました。動き出したのは、2023年7月、日詰学長が合意書の内容とは異なる私案「1大学2校案」を浜松医大に提示したのです。しかし、合意した案での再編を望む浜松医大は「静岡大学の正式な案ではない」と指摘していました。

そして、今週、浜松キャンパス側の部局長らが急きょ会見を開き、「日詰学長が私案を学内の評議会にかけて静岡大学の正式な案にしようと動いている」と説明。再編そのものが白紙になる危機感から、合意した案での再編を訴えたのです。

(静岡大学 川田 善正 副学長)

「一度、浜松医大に1大学2校案を提示し、これは受け入れられないと言われている、それを成案として持って行っても浜松医大は受け入れることはないだろう、(日詰学長は)その場合には(再編の)白紙撤回を覚悟の上と言っている」

静岡側と浜松側の深い溝が浮き彫りになる中、18日、注目の評議会が開かれました。

(川口 卓也 記者)

「関係者が集まり始めました、これから評議会が始まります、再編問題に進展はあるのでしょうか」

評議会には学長や理事、学部長などが出席し、学部数が多い静岡側が多数を占め、浜松側が少ない状況でした。午後8時ごろに終了し、報道陣の前に現れた日詰学長。

(静岡大学 日詰 一幸 学長)

「静岡大学の(将来の)ビジョンを、皆さんがもろ手をあげて賛成ではなかったが、会議として認めていただいた。だからといって合意書を白紙にするということではない」

その後、静岡キャンパスの学部長らが乗るバスに日詰学長が乗り込むと…。静岡側から日詰学長をねぎらう拍手も…。関係者によりますと、日詰学長は「私案を正式な案にして浜松医大に提示することで議論を前に進めたい」と話し、浜松側が反対する中、評議会の合意を得たということです。その上で、現在の合意書を白紙にするというものではないと説明したといいます。浜松キャンパスの部局長らは…。

(静岡大学情報学部 笹原 恵 学部長)

「我々も発言しましたけど、少数派ということで、おおむねいいですね、という風に結論が出た」

この案が、浜松医大に提示されることについては…。

(静岡大学工学部 福田 充宏 学部長)

「成案としてもし断られても、即白紙にはならないと、学長が将来的にどのようにお考えか、我々としてもわからない。白紙撤回だけは避けたい」

18日に「1大学2校案」が静岡大学の正式な案として承認されましたが、浜松医科大学との再編に関する協議は、今後も、難航するとみられます。

もともと静岡大学と浜松医大は、4年前、2つの法人を1つにした上で、静岡と浜松に新たな大学をつくる「1法人2大学案」で合意していました。ところが、18日、承認されたのは、もともと合意した案とは異なる「1大学2校案」これは、1つの大学のまま静岡と浜松に2つの分校を置くというものです。合意案と異なったものが正式案になった背景には、理系の学部がある浜松キャンパスと、主に文系の学部がある静岡キャンパスの対立があります。

浜松側は、浜松医大と統合し新しい大学をつくることで「理系の大学として研究力を高めたい」と、もともとの合意案を支持。一方、静岡側は「大学を2つに分けると規模が小さくなってしまう。1つの総合大学にすることでブランド力を高めたい」として反対していました。

今後、静岡側が支持する「1大学2校案」を浜松医大と協議することになりますが、浜松医大は19日、「私たちは“1法人2大学案”の方が優れていると度々申し上げている。浜松キャンパスが反対している中“1大学2校案”が正式案となったことは誠に遺憾。再度、冷静に検討していただきたい」とコメントしていて協議は難航するとみられます。

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