タクシー不足や過疎地域の交通問題の解消につながるか 一般ドライバーが自家用車で乗客を運ぶライドシェアの解禁は?

ついに日本でも解禁となるのでしょうか?

一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」について、岸田総理が20日に召集される臨時国会の所信表明演説で導入の検討を表明することがわかりました。

(報告:平岩洵人記者)
「午後1時すぎの高山駅です。タクシーを待つ観光客の姿が見られますが、タクシーは1台もいません」

国際観光都市・岐阜県高山市では今、タクシーがなかなかつかまらないようで…。

(タクシーを待つ人)
「10分くらい待っている」

市内のタクシー会社を訪ねたところ、19日午前中は40台中10台しか稼働していないということでした。

(鳩タクシー 野戸修社長)
「コロナで収入が落ちてしまって。高齢化が進んでいる業界であったので、これを機会に辞める人もいて。あと新しく入ってきていただけてない」

国土交通省によると、コロナ禍で2019年度から2021年度までの3年間で、タクシー会社のドライバーが約4万人減少。

稼働する台数も大幅に減っているといいます。

そこで注目されているのが、今や世界に広がるサービス=「ライドシェア」の解禁です。

一般のドライバーが自家用車を使って有料で客を送迎するサービスで、アメリカではごく当たり前に行われています。

この映像は2020年、CBCの記者がロサンゼルスで利用した時のもの。

「ウーバー」のアプリを立ち上げ目的地を入力、自分のいる場所に車を呼ぶことができます。

アプリ上には経路と料金が示され、マッチングが成立した車のナンバー・種類・色も表示されます。

ドライバーにとっては、アプリを介して好きな時に好きな場所で仕事ができるのがメリット。

一定の条件を満たせば自分の車で仕事を始められます。

日本ではこうしたサービスは営業許可のない事業=いわゆる「白タク行為」として原則禁止されていました。

ところが、岸田総理は過疎地域での交通の担い手不足や観光地でのタクシー不足などを背景に、現在は道路運送法で禁止されているライドシェアの解禁を打ち出す考えです。

愛知県新城市で取材したところ…。

(新城市民)
「(ライドシェア解禁に)賛成。病院に行ったり…(移動の面で)不便を感じている人もいる」
「ありがたいですね。免許を返納しちゃったし主人は83歳。(主人は)免許を更新したけど不安はある」

押し寄せる過疎化と高齢化の波。

バスの本数も限られ、新城市北部の人たちからは導入賛成の声が多く聞こえてきました。

一方「ドライバーにとって採算がとれるような仕事になるのかは疑問だ」という声もありました。

また高山市で聞くと…。

(30代女性)
「(ライドシェアが)あまり知られていない状態だと警戒というか、使っても大大丈夫かなと」

(鳩タクシー 野戸修社長)
「適性診断や安全教育、健康診断を定期的に実施して。間違いがないように努力をしている。こういう安全対策や努力が要らないのか。もし(ライドシェアが)認められれば倒産してしまう」

岸田総理は、これまでもタクシー不足などを深刻な社会問題と位置づけ、ライドシェア導入に向けた規制緩和の議論の加速を関係閣僚に指示していました。

ただ、安全性の確保に課題があるとして、自民党内からも慎重な意見が出される中、菅・前総理や河野デジタル担当大臣らも解禁に向け前向きな考えを表明しています。

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