復旧に数億円・・・ごみ処理施設で「リチウムイオン電池」 火災正しく分別を モバイルバッテリーが発生原因の6割

スマートフォンなどに使われている「リチウムイオン電池」。広く普及する一方で、適切に廃棄されず、ごみ処理施設などでの発火による火災が静岡県内でも問題になっています。使い方はもちろん、捨て方にも注意が必要です。

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<湖西市廃棄物対策課 石田千博課長>
Q.火はどこから出たのでしょうか?
「市内から出た燃やせないゴミにつきまして、破砕処理されたコンベアの中で発火している」

静岡県湖西市のごみ処理施設「湖西市環境センター」では2023年5月、施設内で火災が発生しました。火元とみられているのが、正しく分別されなかったリチウムイオン電池です。

<湖西市廃棄物対策課 石田千博課長>
「リチウムイオン電池や乾電池につきましては、湖西市としては分別して他の日に出していただくということで、燃やせないごみには入れないようにお願いしている」

火は、粉砕した不燃ごみを運ぶベルトコンベアで発生。天井などを焼き、初期消火にあたった2人の職員が煙を吸って病院に運ばれる事態となりました。火事から5か月以上たったいまも施設の再稼働には至っておらず、復旧には数億円の費用が見込まれています。

火災の原因とみられる「リチウムイオン電池」は、身近な商品に使われています。

<杉本真子キャスター>
「携帯のモバイルバッテリーや、これからの時期活躍しそうな充電式カイロなど、リチウムイオン電池は、私たちの身近なモノに使われています」

日常生活の至るところで使われている「リチウムイオン電池」。一方で、捨て方に困った経験がある人も多いのではないでしょうか。ただ、正しく捨てなければ火災につながるリスクがあります。

環境省によりますと、リチウムイオン電池の発火などによる全国の火災発生件数は、2020年度に比べ3,000件増え、約1万2,000件に上ります。火災発生の原因は、モバイルバッテリーが6割と最多となっていて、このほか、コードレス掃除機やスマートフォンでも確認されています。

専門家は「リチウムイオン電池」は外部からの衝撃で発火につながる恐れがあると指摘します。

<静岡大学工学部 冨田靖正教授>
「リチウムイオン電池は厚さ数ミリの薄い電池で使われることが多いが、例えば、電池を落とした時、大きな力が加わると電池が変形する。その時に電池の温度が急激に上昇してしまうので、それによって発火する危険性がある」

静岡市内の不燃粗大ゴミが年間約1万トン運び込まれる沼上清掃工場(静岡市葵区)でも、2019年3月にリチウムイオン電池が原因の火災が発生。そこで2020年、AI(人工知能)がカメラで煙を検知し、放水銃と連動する装置を新たに設置しました。

<静岡市環境局廃棄物処理課 小林裕課長>
「画像に対して、AIが煙かどうか感知して、煙があると判断した場合に警報音と警報灯が作動して、係員に知らせて、係員が燃えているところ、煙が出ているところを目視をした後、放水銃で消火にあたる」

ただ、火災が一度起きてしまうと消火作業に1日かかってしまいます。そのため、火災を発生させないためには分別して捨てることが必要です。

<静岡市収集業務課 村松克哉係長>
Q.実際にゴミを処分するときにわたしたちはどう処分したらよいのか?
「充電式の電池については不燃粗大ごみの回収について、実際の本体と分けていただくような形でお願いをしている」

また、電池が内蔵されている商品については…

<静岡市収集業務課 村松克哉係長>
「取り外せない物については(他の不燃ごみと)別の袋に入れて回収をしている」

日常のあらゆる場面で使われているからこそ、正しい知識と方法で捨てることが重要です。

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