【別府】別府市の商店街「楠銀天街」(楠町~千代町)の民有アーケードを公費で撤去する工事に向け、市が地元説明会を開き準備を進めている。店舗看板の事前撤去などの関連工事を商店側に要請。来年2月をめどに着工し、歩道の改修と合わせて進めるスケジュール案も示した。
説明会は17日夜、千代町の市ふれあい広場・サザンクロスであった。地元住民組織「南部ひとまもり・まちまもり協議会」と共催し、約30人が訪れた。
市都市計画課の職員が、看板撤去は着工までに自費で済ませる必要があると説明。「老朽化している建物も多い。安全な通りになるよう改善してほしい」と求めた。アーケード撤去後のにぎわいづくりに向け、空き店舗・空き地の所有者に活用への協力も依頼した。
歩道は市道。降雨に対応するため側溝を整備し、舗装を改修する。街路灯も設置する。
アーケードは全長350メートル。老朽化による落下物などで通行人に危害を及ぼす恐れがあるが、所有団体が自費で対応できずにいた。市は国の補助金を活用した計画(2カ年度)をまとめ、市議会が9月定例会で関連予算案を可決した。事業費は1億円。同課は着工時期について、変更の可能性もあると説明している。
■住民主体、まちづくりの動き
アーケード撤去後を見据えた地元主体のまちづくりも動き出した。商店街再生の先進地視察、にぎわい創出のイベント企画など精力的に展開している。
手がけるのは楠銀天街で美容室を営む梶原貴子さん(51)ら5人。地元の住民組織「南部ひとまもり・まちまもり協議会」が立ち上げた「まちづくり部会」のメンバーとして活動する。
メンバーは8月、同じようにアーケードを撤去した呉服町商店街(佐賀県唐津市)など県外の2カ所を視察し、新たな楠銀天街の青写真を描いた。
メンバーで実行委員会も立ち上げ、11月26日に楠銀天街でイベントも企画している。役目を終えるアーケードを念頭に「感謝祭」と題した。目玉はストリートライブ。飲食や野菜などの販売も計画している。
梶原さんは「古き良き建物や風景を大切にし、地元の方々と調和したまちづくりを進めていきたい」と話している。