夏休みの学童保育で給食「本当にうれしい」喜ぶ共働き家庭 けれど提供は少数派

学童保育で導入された給食を食べる児童たち(8月、京都市中京区・朱雀みぎわ学童保育所)=同保育所提供

 京都市中京区の放課後児童クラブ(学童保育)が夏休みなどの長期休暇中に、希望する児童に給食を提供する取り組みを今夏から始めた。共働き家庭にとって毎朝の弁当作りは大きな負担で、保護者から好評を得ている。こども家庭庁は6月に全国の自治体に学童保育での食事提供の検討を促す通知を出したが二の足を踏む施設も多く、こうした事例が広がるには課題も多そうだ。

 カレーライス、照り焼きチキン、サバの塩焼き…。8月下旬、中京区の朱雀みぎわ学童保育所では連日、温かい給食が提供された。2020年の夏休みから1日30食限定で施設内の厨房で調理した給食を提供していたが、希望者が100人を超える日もあり、週1日しか食べられない児童もいた。

 杉立直子所長(42)が今年7月に同じ法人が運営する近くの中京みぎわ園に相談。焼き魚などを大量に調理できる業務用のオーブン1台を購入し、栄養士1人を派遣してもらえることになり、8月16日から「全員給食」が実現。提供数は多い日には120食を上回ることもあった。

 2年生の長男(7)がいる会社員の女性(41)=下京区=は「共働きなので毎朝の弁当作りは憂鬱(ゆううつ)だったし、どうしても冷凍食品が多くなるので栄養面でも心配だった。給食は本当にうれしい」と喜ぶ。

 ただ、全国的に学童保育現場での昼食提供は進んでいない。こども家庭庁が5月1日時点で、995市区町村に調査したところ、昼食を提供している施設数は約2900カ所と全体の22%にとどまった。京都市は提供施設数を把握していないが、「イベント的に日を限定して提供している施設はあるが、日替わりメニューを毎日提供しているケースは聞いたことがない」とする。

 同庁は6月、全国の自治体に地域の実情に応じて食事提供の検討を求める通知を出した。これを受け、京都市は複数の運営事業者から実情を聞き取ったが、「費用負担が大きく実現は難しい」との回答があったという。市育成推進課は「学童保育の昼食提供に対して公費を投入する必要性があるかどうかも含め、先行事例の研究を進めたい」としている。

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