次はニュー湯治!トランプタワーにも住んだトップデザイナーが仕掛ける 帰国10年、日本女性への提言も

世界的デザイナーとして活躍し、トランプタワーに住んだ日本人として数々のメディアに取り上げられたアケミ・S・ミラーさん。帰国から10年を迎えたのを機に、政財界の人脈も生かして新たな仕掛けに打って出る。「美と医療」に関することだそうだが、一体どんな内容なのだろうか。

いつ見ても若々しくてエネルギッシュだ。25年住んだニューヨークから帰国してちょうど10年。心身ともに衰え知らずのアケミさんが節目を迎えたことを機に再びエンジンを点火させた。

「人種・国籍・性別・年齢は違えど、人々が興味を持っているのは健康でいつまでも美しくありたいという願いでしょう。それを念頭にここから先、内面と外見ともにその人らしさをキープしながら老化を抑えるストップ・エイジングを提案していければ、と考えています」

大阪にトータルビューティースタジオ「AKEMI S. MILLER BEAUTY STUDIO」を立ち上げたのは2014年のこと。ニューヨーク仕込みの”アケミ流”メイクでスタジオはすぐに軌道に乗ったが、さすがにコロナ禍で大きなダメージを受けた。

しかし、生き馬の目を抜く最先端の場所でトップデザイナーとして活躍してきただけあって、ある意味で破壊と再生はお手のものか。コロナ禍が落ち着き、再出発に乗り出した。

「確かに、私は時代に合った服をつくるんじゃなく、ファッションで新たな時代をつくることを仕事にしてたんですものね」

現在、動き出している案件は2つある。ひとつはニューヨーク5番街で20年にわたり運営していたクリエーター育成の美容スクール「NEW YORK BEAUTY SPACE」を東京で開校することだ。

「そこでは世界水準の技術を提供することはもちろん、クリエーティブ感や美意識、マナーなども伝えていく考えです。日本、アジア諸国をはじめ世界中から美容を志す留学生を受け入れ、ニューヨークのユニークさと日本人だからこそできる繊細さを融合させます。そこで各クラスは英語で進めるつもりです」

それと、もうひとつ温めているのが美と医療をとことん追求し、さらに地域振興にもつながる最高級スパ「New TOJI」というアイデアだ。その候補地となりそうなのが和歌山で医療関係者の助言も受けながら名産品の梅と海洋水をいかした新しい湯治を考えている。

このような富裕層をターゲットに、観光とウェルネスを組み合わせた”ヘルスツーリズム”は世界の潮流になっており、日本でも今後、注目されていく部門だろう。その一方でスケールが大きすぎて大丈夫かと思うが、その際に役立ったのがニューヨーク時代のアケミさんの華々しい実績だ。

1993年からスタートしたニューヨークファッション・ウィークの初日に、ダナ・キャラン、カルバン・クラインとともに唯一の日本人としてコレクションを発表。さらにロックフェラーセンターでのショーや国連でのスピーチなどが伝わり、国会議員をはじめとする政財界との豊富な人脈につながっている。

「ニュー湯治では医療関係者に対応していただき、体調を整えてもらうとともに、それと並行して肌の再生医療や美白、しみとりなども行います。お客さんには単なる観光目的ではなく、美容を通してこの国の、日本人の美しいものに対する繊細で素晴らしい感覚をぜひ体験してほしい、と思っています」

そのキックオフイベントとして、12月1日に東京で「AKEMI S. MILLERの”美しい時間”」を開催。トランプタワーの話や衣装を担当したこともあるマイケル・ジャクソン、プラシード・ドミングらとのエピソードを交えながら今後の美容、医療への思いを語る。場所は港区のHORIZON TOKYO カレッタ汐留の47階とあって、おいしいフレンチを楽しみながらニューヨーク気分を味わえるかもしれない。最後にアケミさんが言った。

「ある内科医からこんな話を聞きました。お顔の綺麗な人は内臓も元気である、と。だから私がやろうとしていることは間違っていないってことでしょ。私が目指すこれからの私自身は、年齢を重ねてもみずみずしい人でいることです。これからは日本でだからできることを世界に広げて行く。それが私が日本に帰国した最大の理由になることを確信しています」

人生100年時代。アケミさんはどこまでもエネルギッシュだった。

◇「美しい時間」への問い合わせはinfo@akemismiller.com

(よろず~ニュース特約・チコ山本)

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