「また食べられる」オープン日は完売 那須のカフェで「マーブルパン」復活 受け継がれるレシピと思い

ますやパンの人気商品「マーブルパン」復活に協力した同店元店主の相馬さん(左)とシェレンバウムの鈴木社長

 今春、76年間の歴史に幕を閉じた栃木県那須町寺子丙のパン店「ますやパン店」の看板商品「マーブルパン」が20日、本町の市まちなか交流センター(くるる)にオープンした和風カフェ「雲IZU(くもいず)くるる」で復活した。ますやパン店元店主の相馬信男(そうまのぶお)さん(73)が、親戚で雲IZUを展開する沓掛の和洋菓子・パン製造販売「シェレンバウム」社長の鈴木謙允(すずきのりまさ)さん(59)にレシピを提供。マーブルパンを愛するファンは「また食べられると思わなかった」と喜んでいる。

 ますやパン店は1947年に相馬さんの父親が創業した。マーブルパンはコーヒー粉を練り込んだ食パンにマーガリンとフロストシュガーを塗ったもので高い人気を誇った。同店は地元を中心に多くのファンに愛されたが、相馬さんは自身と妻の高齢を理由に閉店を決断。3月31日の最終日には県内外から多くの人が購入に訪れ、別れを惜しんだ。

 相馬さんはマーブルパンを別の店に引き継いでもらえないか模索していたところ、鈴木さんがくるる内にカフェを出店することが決定。相馬さんの思いを鈴木さんが受け止め、店頭でマーブルパンを販売することとなった。ますやパン店と共通の問屋から材料を仕入れ、パン型も相馬さんから提供してもらった鈴木さんは「とにかくレシピを忠実に再現することを考えた」と振り返った。

 雲IZUくるるオープン日の20日は、開店時間の午前10時前から約40人の列ができた。商品は3種類でマーブルパン(162円)千枚は午後4時過ぎにほぼ完売。黒磯、無職渋谷耕治(しぶやこうじ)さん(75)は「昔から買っていた。閉店で寂しさを感じていたので、また食べることができてうれしい」と声を弾ませた。

 店に駆けつけた相馬さんは「皆さんに喜んでもらえてありがたい」と笑顔。鈴木さんは「改めて多くの人に愛されていると分かった。今後もますやパン店で出していた商品を増やしていければ」と話した。

 雲IZUくるるの営業は午前10時~午後5時。毎週月曜とくるる休館日の第2、4火曜休み。(問)くるる0287.73.5597。

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