〈いしかわ百万石文化祭2023〉天下の絵師、生き様熱演 公演「等伯」初日

迫真の演技で観客を引き付ける出演者=七尾市の能登演劇堂

  ●仲代さん演出、600人魅了

  ●七尾・能登演劇堂

 国民文化祭(いしかわ百万石文化祭2023)の公演「等伯-反骨の画聖-」(北國新聞社後援)は20日、七尾市の能登演劇堂で初日を迎え、俳優仲代達矢さん(90)が主宰する劇団「無名塾」のメンバーと市民キャストが、苦難を乗り越え天下の絵師となった長谷川等伯の生き様を舞台上に描き出した。客席を埋めた約600人は地元が生んだ画聖の物語に浸り、迫真の演技を食い入るように見つめた。

 無名塾の劇団員11人と市民10人が出演した。演出を担当した仲代さんが客席で見守る中、等伯役の赤羽秀之さん(57)は長男の死を乗り越え、国宝「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」を描くまでの等伯の葛藤を全身で表現。舞台裏が開く能登演劇堂ならではの演出も効果的に使われ、カーテンコールでは盛大な拍手が鳴り響いた。

 中島中3年の丸山莉央さん(14)は「等伯を身近に感じた。演技に引き込まれた」と話し、金沢市から訪れた太田恵美子さん(66)は「家族への愛情が深く、さまざまな苦難に立ち向かった等伯に感情移入した」と絶賛した。

 茶谷義隆七尾市長も鑑賞し、「仲代さんの演出がしゃれていて、等伯を知らない人でも楽しめた。劇場に足を運んでほしい」と語った。

 七尾から京都に出た等伯が才能を開花させ、狩野派をしのぐ存在に上り詰めた生涯を描いた物語で、輪島市門前町出身の脚本家岡山矢さんが台本を手掛けた。

  ●11月5日まで

 公演は25、31日の休演日を除き、11月5日まで計15回行われる。チケットは能登演劇堂などで取り扱う。

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