ブナの実、3年ぶり「大凶作」 県内のクマ目撃数、過去2番目

 東北森林管理局は20日、管内の東北5県(福島県を除く)のブナの結実状況を発表し、全県で「大凶作」となった。本県が「大凶作」となるのは2020年以来。本県のクマの目撃件数は既に過去2番目に多く、餌となるブナの実不足が一因とみられる。クマが食料を求めて行動エリアを広げる恐れがあり、県は出没警報を発令し、人的被害への警戒を強めている。

 同管理局によると、調査対象となる5県計135カ所のうち、本県は22カ所で結実状況を調べた。調査の結果、19カ所で全く実が付いておらず、残る3カ所はごくわずかに結実が確認できた。実が多く付いた箇所はなかった。豊凶指数は豊作(3.5以上)から大凶作(1.0未満)の4段階で、0.1だった。

 ブナの結実には豊凶の波があるとされ、ブナの実が不足すると、クマの出没が増える傾向にある。本県では19年、20年と2年連続で大凶作となり、20年の目撃件数は記録が残る2003年以降で最多の795件に上った。人的被害も19年が4件、20年が5件と他の年に比べ多かった。

 一方、結実状況が若干回復し、凶作だった21年の目撃件数は291件(人的被害0件)、並作の22年は376件(同2件)にとどまった。今年の目撃件数は10月15日現在で585件に上り、人的被害は4件となっている。県はクマの目撃場所周辺では、早朝や夜間の不要不急の外出を控えたり、ゴミを放置したりしないよう注意喚起している。

 県の担当者は「秋以降の目撃の多さはブナの実不足が要因ではないか」と分析し、「東北各県で人的被害が発生しており、本県も大丈夫とは言えないので注意してほしい」と訴えた。

© 株式会社山形新聞社