伸びた孟宗からメンマ 県森林研究研修センターが開発、竹林荒廃を防ぐ

タケノコとしての収穫期を過ぎたモウソウチクを使ったメンマの試作品=寒河江市・県森林研究研修センター

 県森林研究研修センター(寒河江市)が県内企業と連携し、県産モウソウチクを材料にしたメンマの開発を進めている。竹林所有者の高齢化などを背景に収穫が追い付かず伸び過ぎたものを有効活用し、竹林の荒廃防止や生産者の収益向上につなげる狙い。山形が誇るラーメンの具としての利用拡大も見据える。21日に天童市のイベント会場で試作品第1弾の食味アンケートを行う。

 モウソウチクのタケノコは「孟宗(もうそう)」の名称で知られる。県内では鶴岡市の金峯山周辺など約140ヘクタールで栽培され、5月上旬ごろを最盛期に年間約160トンが出荷されている。収穫に適したサイズはおおむね長さ1メートル以下で、成長が早いため適期は1~2日と短い。

 近年、竹林の所有者の高齢化や人手不足で収穫作業が追い付かず、そのまま伸長して過密状態となり、折れたり、枯れて倒れたりして、荒廃するケースが本県を含む全国で増えている。同センターは県内の現状を調べた上で、メンマなど製造のミクロ(天童市)の協力を得て、本年度から商品開発に乗り出した。

 試作したメンマは、鶴岡市内の生産者に協力してもらい、タケノコとしての“旬”を過ぎ、高さ約2メートルに伸びたものを材料に使った。軟らかい部分を切り出し、ゆでて機械で乾燥させた後、戻して味付けした。

 国内で流通するメンマの大半は中国などで採れるマチク(麻竹)を発酵させたものだが、試作品は発酵させず、色や味、香り、食感をデータ分析しながら完成させた。同センターの古沢優佳主任専門研究員は「『地元産』の特徴を出せるよう、従来品と違った味や香りを目指した。食感は思ったよりサクサクしている」と話す。

 21日は、天童市の県総合運動公園で開かれる県農林水産祭で、午後1時半から40食程度の試食ブースを設け、来場者に従来のマチク由来のメンマと食べ比べてもらう。今後はさらに試作品作りを重ねつつ、特産化に向け、竹林の所有者らとも連携していく考え。

© 株式会社山形新聞社