白熱ロンドンダービーは痛み分け…チェルシーが終始ペース握るもアーセナルが勝負強さ発揮で2点差追いつく【プレミアリーグ】

[写真:Getty Images]

プレミアリーグ第9節、チェルシーvsアーセナルが21日にスタンフォード・ブリッジで行われ、2-2のドローに終わった。なお、アーセナルのDF冨安健洋は後半からプレーした。

現在、ボトムハーフの11位に低迷も直近ではフルアム、バーンリー相手に今シーズン初のリーグ連勝を達成し、復調気配を示すチェルシー。インターナショナルブレーク明けの初戦では昨季から続く対トップハーフの未勝利をストップすべく難敵をホームで迎え撃った。前節からは先発2人を変更し、ディザジとブロヤに代えてサスペンション明けのグストとムドリクを起用。前線はパーマーを最前線に置き、2列目は右からスターリング、ギャラガー、ムドリクという並びとなった。

一方、宿敵トッテナムに総得点の差で首位を譲るも開幕無敗で2位に位置するアーセナル。前節はグアルディオラ就任後1度も勝利がなく、且つ12連敗中だった天敵を1-0で破り、リーグ戦では8年ぶりとなるマンチェスター・シティ相手の勝利を収めた。今季も有力なタイトルコンテンダーであることを改めて証明したアルテタのチームは、昨季シーズンダブルを達成した相手に3連勝を狙った。そのシティ戦からは先発2人を変更し、トロサールとエンケティアに代えて負傷明けのサカとマルティネッリが復帰し、ガブリエウ・ジェズスとお馴染みの3トップを組んだ。なお、冨安は引き続きベンチスタートとなった。

強い雨が降りしきる中でスタートした注目のダービーは、ホームのチェルシーが勢いを持って入った。開始2分にはスターリングの背後への抜け出しから押し込む形を作り出し、ボックス内のギャラガー、エンソ・フェルナンデスが連続シュートに持ち込む。

以降は前から人を掴みに行くアグレッシブな守備でアーセナルのビルドアップに制限をかけつつ、マイボール時も前線の流動性を活かしながら要所でアウェイチームのプレスを剥がしていく。

すると、11分には右サイドでボールを持ったスターリングのクロスにムドリクが反応しゴール前でヘディングシュート。これがDFサリバの広げていた左腕に直撃。オンフィールド・レビューの結果、ホームチームにPKが与えられる。これをキッカーのパーマーが冷静に左隅へ蹴り込み、15分の先制点とした。

相手の時間帯に耐え切れずにリードを奪われたアーセナルだが、徐々に相手の強度、やり方に慣れ始めると、攻勢を強めていく。21分にはタイミング良くボックス左に抜け出したライスが際どい左足のシュートを放つと、26分にはボックス内で足元に収めたジェズスが鋭い反転シュート。続けて良い形の攻めを見せる。

ここから流れはアーセナルに傾くかに思われたが、前半終盤にかけてチェルシーが再びギアを上げて押し返す。

ボールこそ相手に持たれるものの、アタッキングサードではソリッドな守備を継続。グストとククレジャの両サイドバックの奮闘でアーセナルのサイドアタックも封殺する。また攻撃では回数こそ多くないが、パーマーやグストがカウンターから良い形でフィニッシュのシーンを作り出すなど、攻守両面で相手を上回る形で前半を終えた。

ハーフタイムでの修正に注目が集まったアーセナルは、ジンチェンコを下げて冨安を投入。スターリングに手を焼いた左サイドのテコ入れを図った。しかし、この交代の効果を見極める間もなく出ばなを挫かれた。

48分、ハーフウェイライン付近の左サイドでボールを奪ったチェルシーはギャラガーが左サイドのスペースへボールを運んでいく。ここでサポートに入ったムドリクが左足でファーを狙ったクロスを上げると、ミートし切らなかったボールがそのままファーポストに吸い込まれ、嬉しいブリッジでの初ゴールとなった。

偶然か、相手GKのポジションを見極めたファインゴールかはムドリクのみぞ知るところだが、とにかく貴重な2点目を奪ったチェルシー。以降はよりリスクを冒して前に出るアーセナルの攻撃を撥ね返しつつ、相手陣内では前半同様に狙いを持ったプレスを仕掛けていく。57分にはパーマーがボックス内でGKラヤの縦パスを引っかけて絶好機を迎えるが、ここはラヤの見事なリカバリーに阻まれる。

時間の経過とともに試合が膠着し始めると、65分を過ぎたタイミングで両ベンチが動く。チェルシーは2点に絡んだ殊勲のムドリクを下げてジャクソンを投入し、前線の配置を変える。対するアーセナルはジェズスとジョルジーニョを下げてエンケティア、スミス・ロウを同時投入した。

この交代も試合に大きな変化を与えるまでには至らなかったが、相手のミスを突いたアーセナルが1点を返す。77分、チェルシーのビルドアップでGKサンチェスから味方への縦パスがずれると、これに反応したライスがボックス手前右からすかさずミドルシュート。これが無人のゴールの左隅に突き刺さった。

ミス絡みの失点でブリッジの空気がざわつき始めると、一気に流れを引き寄せたいアウェイチームはウーデゴール、マルティネッリを下げて古巣初対戦のハヴァーツ、トロサールを同時投入。対して逃げ切りを意識したホームチームはスターリング、パーマーを下げてリース・ジェームズ、マドゥエケとやや守備的な交代カードを切った。

すると、この交代が試合を動かす。84分、相手陣内でボールを回収したアーセナルはボックス手前右でボールを受けたサカが狙いすました左足のクロスをファーに供給。これに大外で反応したトロサールが右足アウトで合わせ、ゴールネットを揺らした。

2-2の振り出しに戻った試合はここからよりオープンな展開に。互いにドロー決着を良しとせず、最後までゴールを目指すアグレッシブな姿勢を示したが、エンケティアやジャクソンのシュートは両GKのセーブに阻まれた。

この結果、試合の大半はチェルシーがペースを握ったものの、終盤に勝負強さを発揮したアーセナルが2点差を追いつき、白熱のダービーは痛み分けの結果に終わった。

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