【なぜ】約100年前に“絶滅” のはずが…伊豆半島にクマ 専門家「富士山周辺から移動か」(静岡県)

10月20日、静岡・河津町で体長120センチほどの「ツキノワグマ」が捕獲されました。伊豆半島では100年ほど前にいなくなったとされていたクマ。なぜ、見つかったのでしょうか?

山の斜面で発見された一頭のクマ。20日、河津町梨本の国有林にある通称「二本杉峠」付近で「ツキノワグマ」が捕獲されました。

(山田記者)

「国道から2キロほど入った林道です、ツキノワグマはこの林道の先で捕獲されたということです」

県賀茂農林事務所によりますと、捕獲されたクマは、体長 約120センチで、2歳ぐらいのオスとみられています。シカを捕獲するためのわなにかかっているところを発見されました。

県は目的と異なる捕獲であったため、麻酔銃で眠らせた後にわなを外し、もとの山に放したということです。

この場所に、よくハイキングに訪れるという人は…

(ハイキングに来ていた2人)

「他の山ではある程度気を付けているが、伊豆は2年くらい前にニュースがあってその後は話が出ていなかったので驚き」

「これからはクマがいることを前提に行動しなければいけない」

伊豆半島では、100年ほど前にいなくなったとされている「ツキノワグマ」ですが、2021年も西伊豆町で見つかっています。

ツキノワグマの生態に詳しい米田一彦さんは「富士山周辺から移動してきた可能性もある」と説明します。

(日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん)

「捕まるスパンが短くなっている。2021年に初めて捕まって、2年後のことし、また捕まる。来年また捕まると10頭ぐらい生息しているかたちになってきているのではないか」

また、伊豆半島はエサも豊富で、クマの生息や繫殖に適しているため、今後、増える可能性もあると警鐘を鳴らします。

(日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん)

「里山の木が立派になって、若いクマとメスのクマの“安住の地”になる。そうすると生息域が広がってくる。市街地に近いので、1年おきに出ている。数自体が増えている」

2023年は、全国各地ではクマの出没が増え、人が襲われる被害も相次いでいます。河津町で見つかったクマについて、静岡県の担当者は「過度に警戒する必要はない」と見解を示します。

(静岡県 自然保護課 小澤真典さん)

「今回のクマは人為的なエサに誘引されたり、集落に下りてきているわけではないので、過度に心配する必要はないと考えている。親離れをして山中をつたっていったのでは」

今後、冬に向けて、クマはエサを求めて行動が活発になることから、静岡県は万が一に備えて注意を呼び掛けています。

(静岡県 自然保護課 小澤真典さん)

「クマの行動が活発になる朝と夕方は、入山を避けるなど、対策をとってほしい。山に入る際は自分の存在を示す鈴をつけるなど身の安全を確保してほしい」

こうした中、国は23日午後、クマが捕獲された現場から2キロほど手前にある国有林に入るためのゲートに、注意を呼び掛ける「貼り紙」を設置しました。

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