【ベトナム】レアアースを不法採掘、会社社長ら6人逮捕[社会]

ベトナム公安省は20日、北部イエンバイ省で国の鉱業規制に違反してレアアース(希土類)などを不法に採掘・加工し、販売したとして、タイズオングループのドアン・バン・フアン社長と会計責任者のグエン・バン・チン副社長ら6容疑者を逮捕したと発表した。6人の中には、オーストラリアの資源開発大手ブラックストーン・ミネラルズの提携企業で、ベトナムでレアアースの開発再開を主導するベトナムレアアース(VTRE)のルー・アイン・トゥアン会長らも含まれている。政府が他の省で年内にも計画するレアアース採掘権の入札に影響が出ないか不安が高まっている。ベトナムニュース(VNS)が同日付で伝えた。

公安省捜査警察部によると、タイズオングループのフアン社長とチン副社長は、国の天然資源の探査・開発に関する規制に違反して、北部イエンバイ省バンイエン郡イエンフー鉱山でレアアースと鉄鉱石を違法に採掘・開発・販売した容疑と会計規則に違反した容疑で逮捕され、起訴された。

他に逮捕・起訴された4人は、◇地場商社ホップタインファット交通トレーディングのダン・チャン・チー社長◇同社のファム・ティ・ハー会計責任者◇ベトナムレアアースのルー・アイン・トゥアン会長◇同社のグエン・ティ・ヒエン会計責任者——。4人は刑法第221条第3項の定める会計規定に違反し、重大な結果を招いたとされている。

公安省の捜査警察部門は10月9日、イエンバイ省を含む4省市のレアアース鉱山など21カ所と関係者の自宅などを捜索。その際、出所が不明な1万3,715トンのレアアースと1,400トン以上の鉄鉱石を発見し、捜査を続けてきた。捜査の結果、フアン、チン両容疑者が違法採掘に関わっていたと判断した。2人が採掘・加工していたレアアースは1万1,233トン、4,400億ドン(約1,789万米ドル、26億8,300万円)相当、鉄鉱石は15万2,856トン、1,920億ドン相当に上る。2人はこの取引によって6,320億ドンの不法利益を得ていたという。

ベトナムレアアースとホップタインファット交通トレーディングの両社は、タイズオングループとレアアースや鉄鉱石を取引する際、付加価値税(VAT)のインボイスで取引量と価格を低く見せかける会計操作に加担。結果的にタイズオングループが不法に得た所得を隠し、国庫に75億ドンの損失を与えることを手助けした。

■年内にも開発再開の方針、政府

ロイターによると、ベトナム天然資源・環境省は年内に北部ライチャウ省のドンパオ鉱山で複数鉱区の採掘・開発権の入札を実施し、長年中断していたレアアースの開発を再開する計画だ。この入札にはオーストラリアの資源開発大手であるブラックストーンとVTRE連合も参加する方針を示している。

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