あいの風移管を正式合意 JR城端線・氷見線運行

新高岡駅前を走る城端線の列車。氷見線と併せてJR西日本からあいの風とやま鉄道に経営移管することが決まった=高岡市内

  ●再構築検討会、財源など5条件了承

  ●沿線4市以外に負担求めず

 JR城端線・氷見線の再構築に向けた検討会が23日、富山市の県民会館で開かれ、両線の運行主体をJR西日本から第三セクター「あいの風とやま鉄道」(富山市)に将来的に移管することで正式に合意した。前回の検討会であいの風の日吉敏幸社長が提示した、財源確保や人的支援など5条件への対応案を示し、あいの風側が了承した。具体的な移管時期は未定で、今後検討を進める。

 検討会には会長の新田八朗知事をはじめ、角田悠紀高岡、林正之氷見、夏野修砺波、田中幹夫南砺の沿線4市長、JR西の漆原健常務理事金沢支社長、あいの風の日吉社長らが出席した。

 9月の前回会合で、4市長から城端線・氷見線の運営をあいの風に移管するよう求められた日吉社長は、同社が引き受けるのが合理的な判断とした上で、現路線とは区分経理し、両線の赤字補てんの保証を行うなど五つの条件を示した。

  ●あいの風の安定基金は充当せず

 県と沿線4市、JR西側はこの5条件への対応策を協議。「県と沿線4市で必要な出資や経営安定を図るための支援を行い、沿線4市以外の市町村には負担を求めない」「並行在来線経営安定基金は城端線・氷見線の運営には充当しない」など、いずれも条件に沿った形で応じることとした。

 JR西の漆原支社長は「円滑な運営移管とその後の運営のため、運転士や施設、電気、車両など技術系の要員確保に協力したい」などと述べ、日吉社長は「基本的に理解いただけたと考えている」と応じた。

  ●フリーきっぷ拡充も

 あいの風の日吉社長は終了後、報道陣の取材に対し、運営移管後に同社の1日フリーきっぷの対象に城端線・氷見線も加わる可能性を指摘し「砺波とか氷見にもフリーきっぷを使って移動される世界になるのではないか」と述べた。

 検討会で協議する国の交付金を受けるための実施計画の期間は10年となっており、JR西の漆原支社長は「計画をしっかりと策定し、国に提出して地域にとって良い形で実現できるように取り組みたい」と述べた。具体的な移管時期については日吉、漆原両氏とも言及を避けた。

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