●定期航路計画
七尾港矢田新第一埠頭に24日、ロシアの旅客船が入港した。石川県などによると、日ロ間の旅客船の直行便は昨年2月のウクライナ侵攻後で初となる。ロシアの旅行業者がウラジオストクと七尾を結ぶ定期航路の就航を計画し、2人が観光目的で入国した。今後の就航は不透明だが、市職員や市民からは「なぜ今なのか」と困惑の声が上がった。
県七尾港湾事務所や入港手続きを代行した七尾海陸運送によると、入港したのは「プレイオナ」(全長59メートル、総トン数944トン、定員22人)で、北方領土の色丹島を拠点とする旅行会社が運航した。かつては神奈川県内の高校で漁業実習船として使われた船だという。
プレイオナは23日に七尾港の沖合約4キロに停泊。同日午後1時半ごろに七尾海陸運送の小型船でロシア人の40代の男性、30代の女性が入国審査を受けた。
24日は午前10時半ごろに矢田新第一埠頭西側に接岸し、海上保安庁や税関職員が船に乗り込んで点検した。2人の行き先は把握していない。
北海道の船舶代理店を通して七尾海陸運送に入港手続きの依頼があり、24日午後4時にウラジオストクに向けて出港し、県外在住のロシア人6人が乗る予定になっているという。
県によると、七尾港とロシアの間には貨物船が行き来しているが、外国籍の旅客船は1989年以降は入港していない。市はロシア船の入港に関する情報収集に追われ、担当者は「県などから何も聞いていない。不安に思う市民もいるので事前に情報がほしかった」と漏らした。
七尾港の近くにある道の駅「能登食祭市場」の村本能久駅長(50)は「この影響で、観光客が敬遠するようにならないか心配だ」と話した。
県は「国土交通省が認可した以上、入港を拒めるものではない」(港湾課)としている。