石川県内で中古車復調の兆し 新車買い換え回復で下取り増

 石川県内の中古車市場に復調の兆しが出ている。コロナの影響で前年割れが続いていた新車の買い換え回復に伴い、中古車の販売台数が前年超えとなる企業も出てきた。点検費など購入に必要な費用を全て含む「支払総額」の表示を義務付けるルール変更も今月始まり、ディーラー系販売店は拡販を強化している。

  ●販売1~2割増

 石川トヨペットカローラ(金沢市)では6月以降、中古車の販売台数が前年同月比1~2割増で推移している。担当者によると、新車の買い換え需要に伴って下取り台数が増加し、新たな中古車の販売につながったという。

 昨年は、世界的な半導体不足でメーカー側に納期遅れが生じ新車販売が鈍かったが、今年1~9月の県内は前年同期比14.7%増となり、通年でも5年ぶりの前年超えが見込まれる。これに伴い中古車市場も次第に回復していくとの見方が多い。

 実際、中古車販売台数は4~9月で登録車が0.5%増となり、3年連続の前年割れから増加に転じた。

  ●総額表示で価格分かりやすく

  ●ディーラー系、拡販強化

 「支払総額」の表示を義務付けるルール変更について、もともと新ルールに準じる対応をしてきたディーラー系販売店は冷静に受け止める。

 「うちは、もともと車両価格に点検費用を含めていたので、むしろ、そうでない専門店と比べて有利になった」。石川トヨペットカローラの担当者は自社への悪影響はないと言い切った。

 石川トヨタ自動車(金沢市)の担当者も「しっかりとした基準を設けたことで各社の価格が横並びになり消費者にとって比較しやすくなった」と語る。価格表示のルールが見直される3カ月前から、各店の店長に説明を重ねており、担当者は「導入に違和感はなかった」とし、販売台数の持ち直しに期待した。

 一方、中古車専門店では販売鈍化を不安視する向きがある。

 金沢市内のある店舗では、展示車の表示価格が新ルールの適用で最大15万円程度、平均でも13万円ほど上がったという。

 担当者は物価高で生活用品が軒並み値上がりしていることを挙げ、「実際の支払総額は変わらないとはいえ、見た目でこれだけ値上がりすれば、消費者の肌感覚としては買い控えにつながるかもしれない」と身構えた。

 ★中古車の価格表示ルール変更 車両価格を割安に見せて集客し、商談時に高額な諸費用を上乗せする悪質なケースが問題になったため、大手中古車販売店などが加盟する「自動車公正取引協議会」が総額表示への一本化を図る狙いで今月導入した。消費者が正しく価格を比較できるようになり、事業者間の公正な競争を促す。これまでは「車両価格」か「支払総額」のどちらかを表示するルールで、多くの事業者は安く見える車両価格を示していた。

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